「A形!」長崎電気軌道 1500A形 1507 間接自動制御改造車 珍車ギャラリー#441

「A形!」長崎電気軌道 1500A形  1507 間接自動制御改造車 珍車ギャラリー#441

長崎電気軌道1203号機の画像を2つご用意しました。どこが違うでしょう?

--広告が違う。そんなことはどうでもいいです。
車体は同じです。構成するパーツにご注目いただきたい。
台車が違います。運転台のハンドル形状が違います。
そして気付いていただけたでしょうか。運転台の上にのっかっている箱。
この箱が載っかっていることによりこちらは1200A形となるのです。
九州商船が広告主の画像は1200形(直接制御車)1982年製
auが広告主の画像は1200A形(間接自動制御車)2003年改となります。

先に1200形についておさえておきましょう。
1200形は1982年に5両導入されました。
試作冷房改造車である372(1981年改)の結果をうけて登場した冷房車です。
次世代の軽快電車として試作された2000形に準じたスマートな車体とともに長崎市電に新しい時代が到来したことを示した車両です。
しかし足回りは廃車車両や予備部品から流用したものでした。
すなわち制御器は直接式のKR-8、主電動機はSS-50、台車はK-10(おそらくK-10台車は西鉄北九州市内線用車両のもの) …というわけで年季の入ったパーツが活用されています。
新性能車2000形は期待したほどの成果を得られなかったのです。コストも問題になりました。
旧式の足回りでも特に問題はないのです。むしろ冷房化が急がれました。
以後 長崎では1800形までこの手法が用いられます。

1200A形はこの1200形を2003年にリニューアルしたものです。
1200A形には廃車された西鉄600形の機器が流用されています。

ここで西鉄600形についてお話しします。今回の影の主役です。
1950~53年に近車、川崎、新潟鉄工の3社で計50両が製造されました。
半鋼製車体の12m級車体で定員は80。
制御器は直接制御のDRBC447形(日立製KR-8)で 45kw電動機を駆動します。
路面電車としては結構強力な車両です。
600形は 鉄の街「北九州」での従業員輸送をフリークエンシーサービスで支えてきました。
北九州市は門司市、小倉市、戸畑市、八幡市が合併してできたものです。
北九州線はこれらの都市を結ぶルートであるが故に運行区間が非常に長く、かつ勾配区間も多いという厳しい線路条件でした。
西鉄が北九州線の車両に高出力車を投入したのは当然です。
ところが1972年の製鉄所規模縮小とモータリゼーションの進行で様子が変わってきました。
そこに もともと線形のいい国鉄が本気を出してきたのです。
高速で大量輸送できる近郊形電車に高頻度運転をされようものならもう勝負になりません。
路面電車の北九州線は立ちゆかなくなってしまいました。
1985年に北九州本線の門司 – 砂津間と戸畑線、枝光線の全線が廃止されました。

この時、600形も廃車対象となってしまいました。しかし600形はまだまだ使える電車です。
一方で車体更新もすすめられ1986年から冷房改造も始まりました。


しかし1992年北九州本線の併用軌道区間(砂津 – 黒崎駅前)が廃止。
専用軌道の折尾-黒崎間のみに縮小されます。
この時に600形は冷房車9両を残し廃車されました。
これら廃車対象となった600形から長崎電気軌道はパーツを大量に入手。
これらの機器を流用した1500形を導入することになります。


1500形は1993~97年にアルナ工機で7両製造されました。
1200形と同じく車体を新造し制御器DRBC447、台車FS-51、電動機TDK-525-2Cを流用しました。
西鉄300形の機器流用車1300形ではあえてモータをSS-50に換装し出力を38kwに抑えましたが 1500形ではそのまま流用したことから出力は45kwにUPしています。

西鉄北九州線
1985年に北九州本線(門司 – 砂津)、戸畑線、枝光線の全線 廃止。
1992年に北九州本線(砂津 – 黒崎駅前)廃止。
2000年に北九州本線(黒崎駅前 – 折尾)廃止。

そして2000年に西鉄北九州線は全廃となり7両残っていた600形はお役御免となりました。
これを機に長崎電気軌道はまたも600形機器流用車 1800形を登場させます。


1800形(1801~03)は2000~02年にアルナ工機で製造されました。
600形は冷房車であり車体更新もされているわけですから そのまま使ってもいいような気もしますが、
21世紀を迎えるにふさわしいデザインの車体が新造されました。
1200形~1700形とは違い 前面は行先表示器と窓を曲面ガラスで一体化、中央扉は両開き2枚折戸としました。
そして見逃せないのは1800形が長崎電気軌道 初の間接制御車となっている点です。
1500形では直接制御のDRBC447形(日立製のKR-8)を再利用しましたが、
今回は間接自動の制御器(東洋電機 ES653-A-M)を新造しました。ハンドルも縦型から横型へ
これで流用された足回り(FS-51台車、TDK-525-2C電動機)を駆動します。

間接自動制御は鉄道線車両では当たり前のものです。
でも単行で出力が小さくてすむ路面電車にあっては直接制御でも十分使えます。
2025年の今でも岡電の大半は直接制御車です。
しかし直接制御器のハンドルは重くその操作には職人技が求められます。
ワンマン化され今や運賃の収受も様々です。運転手さんの負担を軽くするのは当然の流れです。
間接自動制御が以後、改造車に引き継がれていくことになります。

そして1200A形です。
2003年から制御器を1800形と同様じ新造品の東洋電機製 ES653-A-Mとしました。
間接自動制御となることから新形式 「A形」となりました。
台車はK-10からFS51に、電動機もSS-50からTDK-525-2Cに取り替えられました。
西鉄北九州線600形の廃車発生品がまだ残っていたのです。
ブレーキも在来車と変わらずSM-3型で もちろんツリカケ駆動です。
ただ出力は 45.0kw ×2とUPしています。
識別ポイントは前述の箱、屋根の上にある抵抗器です。
直接制御器は抵抗器とともに運転台にそのままのっかっているわけですが、今回抵抗器を床下に持って行こうとしてもスペースがなかったのです。
なお1300形から1700形については直接制御なので屋根の上に抵抗器はありません。
力行ハンドルは縦軸から横軸形となりぐっと近代化したイメージとなりました。

2010年には1200A形と同様に間接制御化した1500A形が登場します。


1500形は もともと台車も電動機も西鉄北九州線600形の廃車発生品でした。
(台車:FS-51 住金製 モーター:TDK-525-2C 東洋製45.0kw ×2)
ですから結果として1200A形と同様の構成となりました。
なお1500A形に改造されたのは1507のみです。

そうそう1200形は全て1200A形に改造されたわけではありません。1201が残っています。
1500A形1507に搭載された機器を1201に転用すれば1200形を1500形との差別化が明確になるわけで A形と区別するまでもなかったのです。
しかし1201のみA形改造されませんでした。
1507がA形改造されたのは時機の問題だと思われます。

1507が1200A形と違うのは大型化された側窓と前照灯 尾灯の位置、そしてシングルアームパンタということになります。
一方 1507は1200A形と足回りは同一性能です。
対してA形の識別ポイントは 屋根の上にある抵抗器つまり間接制御車であること横型ハンドルでしたね。
このことで操作感が全く違ってくるわけで新形式となるのは当然かな。
そう運転手さんにとっては 1200A形も1500A形も そしてきっと1800形も「A形!」なんです。

間接自動制御車 「A形!」(制御器: ES653-A-M 45kwモーター:TDK-525-2C )
1800形(西鉄600形機器流用)FS-51台車 2000年~  1801~03
1200A形(西鉄600形機器流用)FS-51台車 2003年~  1202~05
1500A形(西鉄600形機器流用)FS-51台車 2010年~  1507のみ

直接制御車(制御器:DRBC447 38kwモーター:SS-50、TDK-524-2C )
1200形 冷房車(機器流用)K-10台車 1982年~ 1201
1300形(西鉄300形機器流用) KL-11台車 1987年~ 1301~05
1500形(西鉄600形機器流用)FS-51台車 1993年~ 1501~06

1201および1501~06は現在も古風な直接制御器で頑張っています。

-路面電車研究- INDEX   →鉄道車両写真集index
長崎電気軌道 路線まとめ
150形 160形 87形花電車 600形 700形 1050形
201形 201形改 202形 202形改 211形 211形改 300形 300形改
360形 360形改 370形 370形改 500形 500形改
2000形 1200形 1200A形 1300形 1500形 1500A形 1700形 1800形
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