「JR東海のキハ47形が撮影できなかったわけ」JR東海 キハ47形 珍車ギャラリー#298

「JR東海のキハ47形が撮影できなかったわけ」JR東海 キハ47形 珍車ギャラリー#298

キハ40系はここ数年バリエーションも増え最近ではキハ40系もしっかり撮っておかなくっちゃ。
と必ずカメラを向けています。(この記事は2015年9月にUPしたものです)
バリエーションが複雑になればなるほど少数派が増え 番台区分も増えるのは当然です。
そんなわけで 画像を整理していると思わぬところに穴があるのに気づきました。
番台区分どころか元になるその形式自体、撮影できていないものがあったのです。
それがJR東海のキハ47形です。

JR東海 キハ40系 キハ47形5000番台 撮影場所:岐阜

キハ47形はキハ40系の3本柱となる主要形式です。
なぜJR東海のキハ47形が撮影できなかったのか?

ここでまずキハ40系について、簡単にまとめておきましょう。
キハ40系は1977年から投入されたローカル線用標準型気動車です。
1982年までに888両が製造されました。
形式は両運転台車であるキハ40形、片運転台車であるキハ47形とキハ48形に大別できます。
(キハ40形:376両、キハ47形:362両、キハ48形:122両)
キハ47形の基本形となる0番台は暖地向けです。(キハ48形の0番台は準寒冷地向け)
トイレがなければ+1000するというルールがあります。
暖地向けは金属バネ台車装備しているのが識別ポイントです。
対して寒冷地向けはエアサス台車を装備します。これらは各々+500します。
ですから1500番台は寒冷地向けのトイレなし車両ですね。

キハ47形とキハ48形の違いはドアです。
片開きのキハ48形に対して両開きのキハ47形は扉を車体中央寄り2か所に配置します。
いわゆる「近郊形」を志向した車両となっています。
キハ47形はキハ48形とは違ってデッキがありませんから北海道向けの酷寒地仕様は存在しません。
ですが寒冷地向けの500(1500)番台は22両(21両)作られています。

キハ47形0番台は1977年に製造が開始されました。1983年までに193両 (1 – 193) が製造されています。
トイレなしの1000番台については1978~82年に134両 (1001 – 1134) が追加されています。
番台区分まで含めるとキハ40系ではこの温暖地向けキハ47形(0・1000番台)327両が最大のグループとなります。
うちJR西日本に継承されたのは189両ですから関西人である私にとってキハ47形という気動車は全く珍しいものではありません。
これがJR東海のキハ47形を撮影し損ねた大きな原因です。

ここでJR各社に継承されたキハ40系の数を示しておきます。

キハ47形:キハ48形 キハ40形   合計
JR東日本   28:74       117       219
JR東海           5:40            14         59
JR西日本   189:5              63       257
JR九州        106:0              36       142
JR四国          42:0              11         53
JR北海道       0:7             150       157
JR合計      370:126        391     計887両(事故により-1両)
(JR北海道向けのキハ48形は酷寒地向け300番台)

さてご覧のようにJR東海に継承されたのはキハ40系は全部で59両でした。
内訳は次のようになっています。
キハ40形14両(500番台2両・2000番台12両)、
キハ47形5両(0番台2両・1000番台3両)、
キハ48形40両(0番台3両・500番台18両・1000番台2両・1500番台17両)

いかがでしょう。
JR東海に継承されたキハ47形が5両しかいなかったというのは意外ですよね。
それどころか。国鉄時代、JR東海管内のキハ40系の配置先はというと、
キハ47形を除くそのすべてが伊勢区と美濃太田区に新製配置されていたのに対し、
JR東海所属となるキハ47形5両は 新製時 すべて福知山区に配置されていました。
それがJRになる直前に転属してきたものだったのです。これも驚きですね。
さすれば国鉄時代、JR東海管内の非電化区間において暖地向けキハ47形のニーズがなかったということでしょうか。
紀勢線が寒冷地とは考えられませんが…。

さて寒冷地向けのキハ48形がやたら目につくJR東海に対し JR西日本のキハ47形はそのほとんどが暖地向け0番台で183両もいます。
そしてキハ48形はわずかに5両。奇しくもJR東海のキハ47形と同じ数しかいなかったのです。
さすればこの際、JR西日本のキハ48形も珍車としてあげておくべきですね。
ついでに彼女たち5両が新製配置されたところも調べてみました。すると…敦賀区。すなわち小浜線用です。
なるほど、ここなら寒冷地向けのキハ48形というのもうなずけますね。

新製配置されたところをチェックしてゆくと何か見えてきそうです。
そこでJR西日本(JR九州やJR四国も)に寒冷地向けのキハ48形がいないのは理解できるとしても、
寒冷地向けのキハ47形500番台がいたりするのはどういうことなのか。
これも新製配置された区所を調べてみると、その理由が見えてきました。
新潟区です。越後線、弥彦線が国鉄末期に電化されたため西日本各地へ転属してきたのです。

おそらく国鉄は中部北陸地方以東にキハ48形を近畿地方以西にキハ47形0番台を新製配置するという方針で臨んだものと思われます。
(例外:水戸区配属のキハ47形0番台(5両)1982年製)
ですからJR東海のキハ47形はその数自体が少なかったというより、
もともといなかったもの と割り切ってしまってもいいものだったのです。
国鉄末期、福知山線電化などにより余剰となったキハ47形が たまたま伊勢区に転属してきた
という偶然のなせるワザだったと申せましょう。
(正確に言うと  福知山区から一旦豊岡区、亀岡区に転属されています)

それにしても JR東海のキハ40系の総数は59両。
そのうちキハ47形は5両。つまり1割弱はいるのです。
JR東海に限って キハ47形の写真が撮影できなかったのはどういうわけでしょうか?
単に巡り合わせが悪かったのか。とも思いましたがそれだけではないような気がします。
もう少しつっこんでみます。

JR東海のキハ47形 5両の内訳は  0番台が2両 (3.4) トイレなしの1000番台車が3両 (1027.1109.1110)です。
寒冷地向けはありません。

JR東海のキハ47形5両はJR化された1987年。まず伊勢区に配属されていました。
そして1989~90年に冷房改造され1991年には名古屋車両区に転属、5両すべてが武豊線で活躍しました。

JR化以後、キハ40系は各社思い思いに改良され番台区分も各社のルールに従って付与されてゆことになるのですが、
JR東海のキハ47形は 0番台を5000番台に1000番台を6000番台に改めました。
1997~99年にエンジンをC-DMF14HZBに換装したことによるものです。
(キハ47-3・4 → 5001・5002) (キハ47-1027・1109・1110 → 6001 – 6003)

さてJR東海に継承されたキハ40系59両はそのすべてがこのエンジン換装改造(+5000)を受けました。
そのうちワンマン改造(+300)を受けたものも表れます。
しかしキハ47形にはワンマン改造対象車である5300番台、6300番台がいません。

なぜでしょう。キハ47形の特徴は両開きドアです。
両開きドアは、朝夕のラッシュ時に大量の乗客を捌くのには適していますが、
運転室から離れていることもあって一人ずつ運賃を収受するワンマン運転には適していません。
JR東海が片開きドアのキハ48形を優先的にワンマン改造したのは至極納得できます。
結果 キハ47形はワンマン運転をする閑散時を外し主に朝夕のラッシュ時に充当されたということが考えられます。

なるほど。なかなか撮影できなかったのは、私の個人的理由のようです。
幸か不幸か、大阪に住む私にとって中京圏は日帰りゾーンです。
キハ47形が動いていたとおもわれる朝のラッシュ時に撮影することは難しかったということです。
もっとも夕方のラッシュ時に岐阜で撮影し大阪に夜帰る事もできたわけです。
しかしもっぱら青春切符を使っている私は岐阜から乗車したのでは米原までの間はまず座れない!
ということを経験的に知っていました。
そんな情けない理由が撮影できなかった原因でした。つまらないオチで申し訳ありません。

そんなわけで冒頭の画像は 2013年の春に覚悟を決めて撮影した1枚です。
2000年に美濃大田区へ転属した彼女たち5両は高山線で最後の活躍をし2015年にこの地で使命を全うしました。

参考文献:鉄道ファン 597 特集キハ40系一族 2011.1
鉄道ピクトリアル 特集キハ40系 Ⅰ、Ⅱ 2008.7 2008.8
RailMagazine 356 キハ40系気動車のすべて 2013.5

*JR九州にもキハ47形5000番台が存在します。JR東海同様、エンジン出力UP車です。
ただしJR東海と違って現番号に+5000しているので重複番号はありません。

鉄道車両写真集:JR東海 キハ40系
キハ40形2000→5000→3000番台
キハ40形2000→6000→6300番台
キハ40形500→5500→5800番台
キハ48形0→5000→5300番台
キハ48形500→5500→5800番台
キハ48形500→3500→3800番台
キハ47形5000番台 6000番台

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