「インフレナンバー」JR九州 キハ47形9000番台 珍車ギャラリー#427

「インフレナンバー」JR九州 キハ47形9000番台 珍車ギャラリー#427

国鉄(JR)にあって[9]という数字には特別な意味があります。
モハ90形 EF94形 391系 901系 EF200形900番台…など 様々なテストをするために開発された車両にそれとわかるよう[9]を用いてきたのです。
9000番台 というとJR東海の300系9000番台があります。
300系新幹線を量産するにあたり 先行して製造し様々な問題点をあぶり出し その解決方法を試してきました。先行量産車とも呼ばれます。

さて今回取り上げたJR九州のキハ47形9000番台はどうでしょう。
国鉄時代に製造された試作車ではありません。
JR九州のキハ40系として承継されたキハ47形の改造車です。
新たに何かを試すために改造されたのかといえばさにあらず。
こういっては何ですが なりゆき上 そうなった。というのが正しいところです。
では どういうなりゆきだったのか?

その前に番台区分についてお話しします。
かつての旧型客車は蒸気機関車からの蒸気で暖房をしていました。
電気機関車となっても蒸気発生装置(SG)を設置し ここからの蒸気でもって暖房していました。
しかしこれではあまりに非効率です。電気機関車からの電力を利用した電気暖房が普及してゆくことになります。
そのためには 当然 客車側にも設備が必要です。そこでその客車が電暖対応であることを示す必要が出てきました。それが2000番台という番台区分だったのです。
いや +2000番台 というべきでしょう。もとの形式、車番を残すためです。
なお+1000番台とはいかなかったのはオハフ33形やオハ61形に1000番台がすでに存在していたからです。よってオハフ33形1000番台が電暖対応車となった場合は3000番台を名乗ることになります。
ここは大事なところなのでおさえておいてください。

このように旧型客車は形式を越えて番台区分が用いられました。
そして次第に系列ごとに、そして形式ごとに用いられるようになってゆきます。
それでも[9]は試作車としての特別な意味を持ち続けてきました。

次にキハ40系についてお話しします。
キハ40系は国鉄末期に登場した般型気動車です。
1977~82年に計888両が製造され日本中に配備されました。
JR九州にはキハ40形36両とキハ47形106両、計142両が承継されました。
キハ40形は両運転台車、キハ47形は片運転台車です。
キハ40系のエンジンはDMF15HSA (220PS)。

JR九州では1990~93年にエンジンをDMF13HZAなどに換装し360PSにパワーUPすることにしました。
(キハ40形2000番台9両、キハ47形0番台17両・1000番台13両、計30両)。
これらを区別するにあたって番台区分ではなく新形式を付与、キハ140系としてデビューさせました。
(キハ40形→キハ140形、キハ47形→キハ147形。車番は引き継いでいます。)
キハ147形は篠栗線をスピードアップすべく当初は直方気動車区には配置されました。
キハ140形は大分気動車区に配置、豊肥線などで使用されました。

続けて1997年。今度は機関換装ではなく今ついているエンジンを改造することにより出力増強(300PS)を図りました。
この程度で新形式を与えていたのではキリがありません。
でもパワーが違うのですから番台区分することにしました。
元番号に+5000しました。
キハ47形は0番台→5000番台、1000番台→6000番台(各4両)
キハ40形は2000番台なので7000番台となります。(2両)

+3000にはしませんでした。
1992~94年にJR西日本はキハ40系の一部をロングシート車に改造。
その際キハ47形1000番台に+2000し3000番台が登場しています。
元の車番は残さず3001から連番で登場させています。
当面、重複はしませんが 今後可能性がないとはいえません。
このことが影響していたかもしれません。
一方、1994~96年にJR東海がキハ40系の一部についてエンジンを換装しパワーUP改造し、これを5000番台としました。
こちらも元の車番は残さず5001から連番で登場させています。
JR東海のキハ40系は数が少ないので重複する可能性はありません。
もっともJR東海のキハ40系がJR九州管内に乗り入れてくることは万が一にもないでしょう。

そして1999年。JR九州は コマツ製SA6D125H-1A(300PS)に機関換装した出力増強グループを登場させます。
97年の+5000グループと同じ出力ですから、同じ番台区分でもいいような気がしますが、今回は空いている8000番台9000番台を使用、+8000することにしました。
よってキハ47形(トイレなし)9000番台が登場することになったのです。

JR九州では番台区分の数字について 車種、形式によって様々といいながら
国鉄時代から 900番台だけは先行、試作的な車両に与えられることを尊重するという姿勢を示しています。そしてジョイフルトレインについても900番台は使っていない。と述べられています。
(鉄道ファン366「特集:私の名は900番」P53 1991年10月号)

キハ47-50・51・52・55・56・5057・60・62・70・72・76・5077・87〜89・92・119〜121・123〜126・129・132〜135・157〜159
→キハ47-8051・8052・8055・8056・8057・8060(指宿のたまて箱)・8062・8070・8072・8076・8077・8087(かわせみ やませみ)・8088・8089・8092(はやとの風)・8119〜8121・8123〜8126・8129・8132〜8135・8157・8158・8159(いさぶろう・しんぺい)

キハ47-1031・1041・1042・1046・1048〜1051・1056・1072〜1075・1077〜1079・1082〜1084・6097・6098・1126
→キハ47-9031・9041・9042・9046・9048〜9050・9051(かわせみ やませみ)・9056・9072〜9075・9077・9078・9079(指宿のたまて箱)・9082(いさぶろう・しんぺい)・9083・9084・9097・9098・9126

こうしてみるとジョイフルトレインに9000番台が含まれているのですね。
まあ900番台ではありませんが…。

追記
JR九州はキハ47形500番台1500番台のエンジン駆動を2軸化したグループを登場させました。
2005年のことです。こちらに+3000した3500番台4500番台が付与しています。
なおJR西日本にはキハ47形3500番台(ロングシート車)が2両存在しています。
しかし今後も重複する可能性はありません。

参考リンク:JR九州のキハ40系 
 キハ40形2000番台 8000番台
キハ47形0番台1000番台 8000番台9000番台
キハ47形 アクアライナー色
 キハ140系  キハ140形 キハ147形

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