JR東海が発足した当時、113系は在来線においてはもっともありふれていた車両でした。
それでもJR東海独自の冷房改造をされた5000/6000番台などは他のJR各社では見られないものです。
6両編成でクハ111-6103を含むR1編成なんかは追っかけて撮影したものです。
対して国鉄末期に登場した2000番台は外見に変化が乏しくあまり触手が動きませんでした。
それでもクモハ113-2000番台というJR東海にしかいない車両がいます。
そしてこの2000番台からは今回ご紹介する8000番台という珍車も発生しているのです。
ペチャパン(C-PS24A)
8000番台とは申しましたが 実際に8000番台となったのはモハ112形のみです。
8000番台は 2001年に2000番台のパンタグラフをいわゆるペチャパン(C-PS24A)に取り替えたものだけに与えられた番台区分で
写真のN5編成でも パンタグラフのついていないものはもとの2000番台のままです。
JR東海 113系 N5編成④ モハ112-8040 撮影2005.3:名古屋
中央西線用 113系 N5編成 6連 神領電車区
←名古屋① TcMMMMTc
クハ111_2031-モハ112_8041-モハ113_2041
–モハ112_8040-モハ113_2040-クハ111_2131
ではこのペチャパンと称されるこのパンタグラフとはいったいどのようなものでしょう。
かつては800番台と称する低屋根車両を導入する必要があった中央線高尾以西への乗入れにあたり国鉄は115系に最低作用高さと折りたたみ高さを低減したパンタグラフ=PS23を開発しました。
ついで201系を中央線高尾以西へ乗入れさせるにあたり折りたたみ高さの低いパンタグラフを導入。
これがペチャパン(PS-24)というわけです。
(なお豊田区の201系については79両が1986年からパンタグラフをPS24に取替えています)
このことで201系は中央線大月への乗り入れを果たしました。
これらのパンタグラフを搭載することで建築限界をクリアしたのです。
(対応車両は車番の前に◆のマークが付いています。)
ペチャパンが必要とされる線区
JR東海においても800番台と称する低屋根車両を必要とする路線がありました。
中央西線 中津川以北です。(正確には南木曾以北)
JRとなった当初、この区間用に大垣電車区(関西線と共通運用だったので神領区ではない)に配属されたのは165系です。
③両編成×18本のモハ164(パンタグラフつき)は低屋根構造の800番台とPS-23を搭載する500番台です。
JR東海 165系 C26編成② モハ164形 モハ164-816 撮影:松本
さすれば、モハ112-8000番台をふくむN編成はこれらの後釜のように見えます。
しかし彼らが登場した2001年当時、すでに165系はなく(1999.11において165系の運用は消滅)
当該区間には313系の3000番台が2連×16本配置されていました。
加えていえば、モハ112-8000番台をふくむN編成は6連です。
これだけの輸送力がはたして中津川以北で必要なのでしょうか。
ちなみにN編成には4両編成も2本存在するのです。
なぜこちらにモハ112-8000番台をもってこなかったのか?
いずれにせよ。
モハ112-8000番台をふくむN編成は中津川以北で、それほどの活躍を期待されてはいなかったように思われます。
推論:パンタグラフを取り替えたわけ
では、なぜパンタグラフをとりかえたのか?
それも165系譲りのPS-23でなく、なぜPS-24なのか?
さて、ここで気になることがあります。さきほど豊田区の201系について、
1986年からパンタグラフをPS24に取替えたと述べましたが、
そのPS-24をJR東日本は2000年から翌2001年にかけてシングルアームのパンタグラフであるPS-35に取り替えているのです。
もっともモハ112-8000番台に搭載されたパンタグラフはC-PS-24Aです。
厳密に言えば形式も違う別物です。
しかし、偶然というには時期が一致しすぎているように私には思われます。
これは憶測にしか過ぎませんが、JR東海は程度の良い中古のパンタグラフを入手したということではないでしょうか。
そしてそれを手直ししてうまく使えば より広範囲に113系を使い回せるということになります。
でも、はっきり言ってしまえばそれはおまけです。
変な言い方ですが、おいしいおまけを忘れないように8000番台を与えたような気がするのです。
これら4両のモハ112は 2007年には全て廃車となりました。
6年間にどれだけ木曽路を駆けることがあったのでしょうか?
-鉄道車両写真集- |
JR東海 113系_2000.8000番台 113系_基本番台 1000番台 113系_5000番台インバータ冷房改造車 T編成600番台 700番台 |
参考文献;JR電車編成表 88.00.05
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