「ミス レインボー」JR東日本 オロ12-715「スーパーエクスプレスレインボー」珍車ギャラリー#407

「ミス レインボー」JR東日本 オロ12-715「スーパーエクスプレスレインボー」珍車ギャラリー#407

「スーパーエクスプレスレインボー」は国鉄末期の1987年3月に14系客車を改造。
JR東日本が継承した欧風客車です。
今回 珍車として取り上げたのは ④号車のオロ12-715です。画像をご覧ください。


「スーパーエクスプレスレインボー」④号車 オロ12-715 イベントカー

14系客車改造といいましたが このオロ12-715のみ12系客車(オハ12-371) を改造したものとなっています。
イベントカーということだけでなく 屋根の高さなどを見ても お隣の③号車との違いは明らかです。
種車が違うのだから車体の造りが違うのも当然です。


「スーパーエクスプレスレインボー」③号車 オロ14-713(もとオハ14-193)撮影:友部

では ここでまず  14系客車と12系客車についておさらいしておきたいと思います。

12系客車

12系客車は急行用座席客車です。
1969~78年に 新潟鉄工所・富士重工業・日本車輌 で603両製造されました。

オハ12形0番台 オハ12-346 撮影場所:京都

国鉄初の自動ドア客車で空気ばね台車(TR217)を採用し乗り心地を改善しました。
そしてなんといっても冷房機を備えたことで かつての客車列車のイメージを一新しました。
冷房装置には大量の電力が必要です。
20系寝台車では電源車を別に用意しましたが12系では 6両分の発電セットをスハフ12形の床下にまとめるという手法をとりました。
また新型のCL形応荷重機構付自動ブレーキ装置を採用しました。
これは特別な牽引機でなくても110km/h運転が可能となるなど汎用性の高さが持ち味です。
デビュー当初、臨時列車ではありますが特急として運用されたこともあるのです。
また 急行「雲仙」「きたぐに」「ちくま」など定期列車にも使用されています。
北海道をのぞく日本全国に活躍の場を拡げました。
しかし もともと 波動輸送用(臨時列車用)として設計されたことから、寝台車・グリーン車・食堂車はありません。
(オハネフ12形という寝台車が存在しますがこれはナハネフ10形の改造車で10系客車の一族です)
よってオリジナル車のラインナップはシンプルに3形式です。
オハ12形(1 – 374):定員88の基本形式
スハフ12形(1-90、101-163):定員80の緩急車。
サービス用電源のエンジンと発電機を搭載。100番台は電源用エンジンの出力UP形。
オハフ15形(1 – 76):定員80の緩急車。
こちらは発電セットを搭載していません。
うちスーパーエクスプレスレインボー 「イベントカー」の種車となったのはオハ12形です。

14系座席客車

12系客車がベースとなる14系客車は 自動ドア客車で台車も同じくTR217系を採用しています。
ブレーキもCL形応荷重機構付自動ブレーキ装置を採用することで110km/h運転が可能となりました。
違いは12系客車が急行用であるのに対して 14系は特急用であるというです。
車体は特急電車である183系のようなフォルムとなり簡易型ではありますがリクライニングシートを備えます。
14系座席客車は1972~74年に 新潟鉄工所・富士重工業・日本車輌 で325両製造されました。
時代は「急行から特急」という流れだったのですが 急行用である12系の半数ほどしか製造されませんでした。


オハ14形0番台 オハ14-75 撮影場所:大阪

12系と同じく波動輸送用として増備されました。
ところで14系「座席客車」としたのは14系には寝台客車が存在するからです。
北海道の夜行急行には14系寝台客車に14系座席客車が混結されていました。
特急「あかつき」のレガートシートも14系座席客車です。
でも前者は500番台、後者は300番台となります。そう それらはともに改造車なのです。
14系寝台客車は24系寝台客車のサービス電源分散型という位置づけであり私の感覚では別系列です。
よって14系座席客車のラインナップは以下の3形式のみです。(改造車を除く)
オハ14形(1 – 209):定員72名の基本形式。
スハフ14形(1-63):定員64名の緩急車。
サービス用電源としてDMF15HZ-G(270PS)エンジンとDM93発電機を搭載します。
自車を含む6両に給電が可能です。
オハフ15形(1 – 53):定員64名の緩急車。
こちらは発電セットを搭載しません。
イベントカー以外の種車となったのはオハ14形とスハフ14形です。

使用する列車種別も違い車体自体も大きく違う14系と12系客車です。
が しかし、足回りを含めシンプルなラインナップとなる点も共通しており姉妹車両といっても差し支えないと私は思っています。
ですからこういう組み合わせもおかしくはないのです。
でもどうしてわざわざ14系編成に12系を組み込んだのでしょう。

12系客車が組み込まれたわけ

思うにそれは まず種車の数です。
前述したように14系客車は12系客車の半数ほどしか製造されていません。
加えて12系は1984~86年にかけて近郊化改造(1000番台)が進められていました。
あとプラス1両欲しいというのであれば すぐ用意できたと思われます。
でも 私は天井の高さが欲しかったのではないかと考えています。
イベントカーの中央部にはステージがあります。
大きいものではありませんがストロボライトと音楽が連動しディスコのムードを演出しました。
折りたたみ式の座席も用意されましたが座って踊るわけにもいきません。
またそのステージは高さ20+20cmほどの2段構造となっていますから中央部は開放的な雰囲気を醸し出すためにハイルーフ構造となり 天窓まで設置しました。
スピーカーはJBLとBOSEの床置形で車両用に音場設定された特別仕様です。
ビデオプロジェクターも備えられその背面はAV装置のコントロール室となっています。
加えてバーカウンターまで設置しました。
スーパーエクスプレスレインボーが登場した当時はバブルの最盛期です。
女性客室乗務員「ミス・レインボー」が乗務し花を添えました。
超豪華寝台車「夢空間」と連結されることもあったそうです。
思えば なんともバブリーな車両だったのですね。

しかし大きな問題がありました。その熱量です。
ストロボライト以外にもスポットライトもありました。
AV装置もバーカウンターの冷蔵庫も発熱源です。
そしてなんといっても人々の熱気。
12系はAU13形クーラーを6基搭載します。
14系は5基ですから そういった点からも12系を採用したのは正解。
といいたいのですが、前述の天窓を設置したために2基撤去したそうです。
きっと「もっとクーラーを強くしてくれ」といわれたに違いありません。
あとからAU13形クーラーを1基追加しましたがそれでも足りなかったでしょうね。

1990年。バブル崩壊。「ミス・レインボー」は姿を消しました。
イベントカーの熱気も「ミス・レインボー」とともに昔語りとなりました。
「スーパーエクスプレスレインボー」の出番も激減したと思われます。
「ちょっと 熱くなりすぎたわ…」
彼女たちは 2000年3月に引退し2001年7月廃車されました。

参考:新車年鑑1988年版 鉄道ピクトリアル 496 1988.5

JR東日本 14系客車700番台「スーパーエクスプレスレインボー」

「スーパーエクスプレスレインボー」撮影:友部

 

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