「交直流化された113系」JR西日本 415系800番台 珍車ギャラリー#037 

「交直流化された113系」JR西日本  415系800番台 珍車ギャラリー#037 

JR西日本 415系800番台 C11編成

415系 800番台 七尾駅


1985 年以前 北陸本線には交流電気機関車が牽引する客車列車が結構残っていました。
これらを電車化するために583系寝台特急電車を各停用に改造するという荒技を国鉄は用いました。
419系です。

JR西日本 クハ419-2

クハ419-2  米原駅

経費節約のため最小限の改造にとどめました。
 特急車両の面影を強く残す分 マニアにはうれしい電車です。
しかし、近郊形としては問題が多く混雑時の乗り降りには出口が狭く閉口してしまいます。

さて七尾線が電化されたのは1991年3月です。
さすがに485系を各停用に格下げすることはしませんでした。
白羽の矢がたったのは福知山線のクモハ113形800番台です。


JR西日本 113系800番台 K3編成

113系800番台 K3編成  大阪駅

113系800番台は湖西線用700番台と同様の耐寒耐雪改造を施したものです。
国鉄時代 福知山区にはK編成(Tc-MM’-Tc)4連×9とS編成(Mc-Mc)2連×14が在籍していました。
このMc-Mcを分割、 Mc-M-Tc 、Tc-M-Mcに組み直し福知山線はクモハ112形を活用。
七尾線ではクモハ113形を
活用することにしたのです。
このことで七尾線の改造工事費を低減すると同時に福知山線の輸送力を増強するというわけです。
MMユニットを分割するカタチになったわけですが、余剰となっていた中間電動車を再起させることができました。
ただそのままでは交流区間を含む七尾線を走れません。1990~91年に交直流改造されました。
これが415系800番台です。直流電車が交直流電車になる珍しい例です。
福知山区、向日町区配置の113系800番台12両(クモハ113形11両、モハ112形1両)と
網干区、日根野区配置の
113系0番台 21両(クハ111形11両、モハ112形10両)が対象となりました。
0番台については 新たに耐寒耐雪改造を施し 扉を半自動化するなど対策が施されています。

逆に交直流電車が直流電車になる例としては特急「北近畿」などに用いられている183系800番台があります。
特急「北近畿」は1986年11月。福知山線及び山陰本線福知山 -城崎間電化により485系で運転を開始しました。
多くは日根野区からの転入車でしたが国鉄末期でしたから勝田区や南福岡区からも福知山区へやってきています。
直流区間のみなのに全て交直流車で揃えたのは妙だなと思いましたが、5年後の七尾線電化にあわせて前述の113系800番台に交流機器を譲ることとなり直流電車183系800番台の登場となったのです。

JR西日本 クハ183-851

クハ183-851     高槻駅

つまり485系の直流化と113系の交直流化はこの交流機器の付け替えによる一連の流れの上で成り立ったというわけです。
とはいえ113系を交直流化するのは大変だったようです。

交流機器を搭載するためモハ112は台枠を強化。
MG、CPは取り外しクハに搭載。スペースを確保しました。
天井部も低屋根化しパンタグラフ周辺のスペースにも交流機器を搭載 モハ414に生まれ変わりました。
モハ414-802はもとモハ112-12で1964年製です。四半世紀を超えての再デビューです。
なんと急行「能登路」に使用されることもありました。
もと113系が急行?と馬鹿にしないでください。
室内はクロスシート部がバケットシート風になるなど一新されていました。
彼女は「 475系より座り心地はよくてよ」と思っていたことでしょう。

C01編成は2016年3月、C04編成は2017年3月廃車されました
521系100番台が導入されたことにより淘汰が進み 415系800番台は2021年3月に営業運転を終了しました

これは2005年11月にUPし 2011年02月、2023年2月に補筆訂正したものです。

JR西日本 クモハ415-811

クモハ415 811(福知山線色)アンテナにもご注目。大阪駅

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