「荷物室付き」JR西日本 281系「はるか」クハ281形 珍車ギャラリー#186

「荷物室付き」JR西日本 281系「はるか」クハ281形 珍車ギャラリー#186

「はるか」がその営業を開始した当時。
京都駅寄り先頭車はグリーン車であるクロ280形ではなく普通車であるクハ281形であったことをご存じでしょうか。
さて、このクハ281形には大きなJRマークが描かれた窓の無い部分があります。
ここには大型のスライドドア(幅1.6m)となっていてその内部は荷物室(4835×1865)となっています。
でも、今は空気を運んでいるだけです。なぜ、こんなものが存在するのでしょう。

関西空港線の開業は1994年6月。同年9月に関空特急「はるか」はデビューしました。
そして京都駅にはK-CAT(京都シティエアターミナル)が設置されたのです。
K-CATでは搭乗手続を済ませた航空旅客の手荷物を預かりそのままエレベータでホームに運びます。
そして京都駅寄り先頭車(5号車)であるクハ281形の荷物室に積み込む手はずになっていました。
もちろん関空駅到着後にはその荷物を旅客機へ直行させるという至れり尽くせりのサービスです。
ですから、かつてはちゃんと機能していたのです。

しかし、2002年アメリカ同時多発テロ事件の影響もあってのことか。
思ったほど利用者が伸びなかった「K-CAT」は8年で閉鎖。
関空特急「はるか」でチェックイン後の手荷物を輸送するサービスも中止されました。
以後、この荷物室はデッドスペースとなってしまったというわけです。
K-CATの廃止にあわせて方向転換が実施され 京都寄り先頭車もグリーン車クロ280形になるよう改められました。
クロ280形に荷物室がついていれば良かったのかもしれませんがクロは反対側の関西空港駅側についていました。
グリーン車の乗客は高い料金を払わされているのにもかかわらず入口にも乗換口からも遠い前寄りへ歩かされていたのです。
この方向転換は納得できますね。
でも、荷物室は使用停止のままで客室への転用改造もなされていません。

「はるか」の到着する30番線は建物で目隠しをされているようになっています。
前述のエレベータ部分がその原因の一つです。
はじめて利用する乗客にとっては戸惑ってしまうのですが、これも負の遺産ということですね。
なにか有効な活用方法はないものでしょうか…。

クハ281の荷物室跡はシャワー室にするとかK-CATの跡地は「はるか」利用者限定の仮眠室にするとか。
24時間空港のメリットを活かした何らかの方策を考えていただけたらな。と思います。

注;この記事は2010年11月に書いたものです。

-鉄道車両写真集-
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参考文献;鉄道ピクトリアル 「新車年鑑1994年版」No597 1994.10

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