震災復旧車 阪神8502
95年1月の阪神大震災で、もっとも手痛い打撃を被った鉄道会社は、阪神電鉄です。
2層構造になっている石屋川車庫は,惨憺たる状態で、多くの車両が被災し廃車処分されました。
急行用主力車輌となる8000系も例外ではありません。
1984-95年にかけて126両(6連×21編成)が製造された8000系ですが、その半数以上にあたる11編成66両が被災しました。
編成 | 被災場所 | 被災状況 | 処遇 |
---|---|---|---|
8201F | 石屋川車庫10番線 | 脱線 | 3両廃車、3両復旧 |
8213F | 御影留置線21A線 | 脱線転覆 | 3両廃車、3両復旧 |
8215F | 御影留置線22C線 | 脱線 | 全車復旧 |
8217F | 石屋川車庫1番線 | 脱線 | 2両廃車、4両復旧 |
8219F | 御影留置線22B線 | 脱線 | 全車復旧 |
8221F | 石屋川車庫8番線 | 脱線 | 1両廃車、5両復旧 |
8223F | 石屋川車庫13番線 | 脱線 | 4両廃車、2両復旧 |
8225F | 御影留置線22D線 | 脱線 | 全車復旧 |
8231F | 御影留置線22A線 | 脱線 | 全車復旧 |
8235F | 御影留置線21A線 | 脱線転覆 | 2両廃車、4両復旧 |
8239F | 御影留置線21B線 | 脱線 | 全車復旧 |
ウィキペディアより転載。
この表からもわかるように8000系の廃車は15両に及びます。
8000系は阪神初の6連固定編成で新造車では初となる界磁チョッパ制御車です。
01Fでさえ製造以来10年ほどでしかない最新の主力車両でした。
阪神のスタッフは、この理不尽な現実に呆然とされたことと思います。
私自身の被害はたいしたことはありませんでした。
しかし、被災された方々とともに灘区の公園でたき火を囲んでいたとき、
「何かしなきゃあ。」と居ても立ってもいられない思いにとらわれました。
阪神のスタッフも、新車の到着まで指をくわえて待っていること何てできなかったでしょう。
一日も早い復興に向けて、立ち止まってはいられない。
できることからやってゆこう。そう思われたに違いありません。
そんな中、使える車両をやりくりするうちに生まれたのが、8500番台(Tc 先頭車)8300番台(MMユニット中間車)だと思うのです。
このうち8523,8536,8336は、廃車となった車両の部品を最大限活用し代替新造されました。
そして唯一、8502だけが改造車となります。
相方を失った8201を方向転換し、同じく相方を失った8102-8002を新たな相棒としたわけです。
震災前 →元町
8201–8001 –8101-8102 -8002-8202
廃車 廃車 廃車
震災後
8523 –8023-8123– 8102-8002 –8502(=8201を方向転換)
新造
8000系はタイプⅠ(01F) だけが従来の車体デザインを引き継ぎました。
タイプⅡ(03F) 以降は、マスクが「額縁スタイル」となり側窓が一段下降になることから新8000系などとよばれることもあります。
リニューアル
8000系のリニューアルは2002年4月にタイプⅡである8011F から始まりました。
タイプⅠである8502はスルーされてしまったわけです。
一世代前の車体デザインであることに加え、震災時のダメージが顕在化してきたからか。
と寂しく哀しい気持ちになりました。
しかし、それから5年後の2007年4月。
8502もリニューアルされ阪神本線に戻ってきました。
2020年には、直通特急にも使用されますます意気軒昂です。
「私が頑張ることには、特別な意味があるの。」
キラキラと輝くLEDのまなざしに、そんな彼女の強い意思を感じました。
阪神電気鉄道 8000系 (震災復旧車)リニューアル車 6両編成 編成表
←梅田① 元町→
8201-8001-8101-8101-8001-8201 Tc1-M’-M-M-M’-Tc2
8523F:8523-8023-8123-8102-8002-8502
撮影2021.7 月見山
-鉄道車両写真集- |
阪神 8000系 タイプⅠ タイプⅡ タイプⅢ タイプⅣ へJUNP |
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