1975年 2200系デビュー
2200系2251 在りし日の姿
2000系の導入から15年が経過した1975年。2200系は神戸線にデビューしました。
最新鋭の省エネメカである電機子チョッパ制御を導入した堂々たる8両固定編成は阪急の次世代モデルと位置付けられます。
といえば聞こえは良いのですが、実際にはいろんな問題を抱えていました。
営業運転したのは落成からおよそ半年後となります。
ワンハンドルマスコンの操作に運転士が習熟するために相応の訓練期間が必要だったことと、電機子チョッパ制御器から漏洩する高周波ノイズが運転に障害を起こさないかを確かめるため、様々な条件下で試運転を繰り返す必要があったからです。
電機子チョッパ制御のメリットは回生ブレーキによる省エネ効果ですが、駅間距離が比較的長い阪急の路線においては減速の機会も当然少なく、高価なデバイスを使用する電機子チョッパ制御車は量産されることはありませんでした。
また8両固定編成で登場したというのも、在来車とは併結できない独自の特性を有していたからです。
結局、2200系の後継車両として1976年にデビューしたのは6000系です。
2200系の車体デザインこそ引き継がれましたが メカは抵抗制御のまま…。
次世代への範となり得なかった2200系は歯がゆい思いでいたのではないでしょうか。
VVVFインバータ制御試験車に
そんな2200系に転機が訪れます。
1985年3月に、VVVFインバータ制御装置を搭載する中間車(2720・2721)が追加製造されたのです。
今回のように電機子チョッパ制御車のみならず、在来の抵抗制御車にも併結できるインバータ制御は優れものです。
阪急のみならず 主流となってゆくのは当然ですね。
2250Fの付随車2両と差し換えて6M2T編成となりました。
(導入当初:4M4T)
1975年:2250-2700-2701-2750-2751-2710-2711-2251
(インバータ制御車編入時:6M2T)
1985年:2250-2700-2701-2720-2721-2710-2711-2251
→2750-2751:6022F 2連に組み込み。(90年には7026F 2連に組み込み。)
VVVFインバータ制御は8000系・8300系に引き継がれることになりました。
前述のように電機子チョッパ制御は 引き継がれることなく1992年には電装を解除します。
電動車4両(2700・2701・2710・2711)は付随車となりました。
(このとき、2760・2770・2761・2771に改番)
1992年
2250-2700-2701-2720-2721-2710-2711-2251
2250-2720-2721-2251
→2760-2770 →2761-2771
残った先頭車の2250・2251とインバータ制御車の2720・2721は4連となりました。
そして6000系2連(6025F)を梅田方に連結した6連で今津北線で運用されます。
(6025F)+2250-2720-2721-2251
阪神大震災で被災 6000系に編入
この6連が1995年。阪神大震災で被災することになります。
2721は廃車、代替として付随車2772が新造されました。(のち6772)
2720は廃車は免れたものの、相方を失ったため電装解除。付随車となり6762に改番されました。
制御車である2250・2251も6050・6150に改番され、この時点で2200系は形式消滅することとなりました。
阪急神戸線 6000系7000系混結8連_6050F① 6050 Tc 元2250
撮影 2007年12月 夙川
神戸の地震は、2200系10両そのすべてが6000系となり、チリヂリバラバラになった契機でもあったのです。
被災した2200系インバータ4連
*2250・2251(オリジナルTc 1975)
震災により →95.6改番 6050・6150
95.7時点 6050F 4連 6050-7616-7516--6150
*2720・2721 (M:VVVFインバータ制御 1985)
震災により 2720→電装解除2762 →改番6762
2721→廃車 2772(新製)→改番6772
97年時点 7020F 8連
7020-7520-6772-7760-7770-6762-7620-7120
被災した2200系インバータ4連だけではありません。
6000系に組み込まれていた2200系も 震災を契機に10両そろって6000系に編入されていました。
*2750・2751(オリジナルT 1975)
85年に6022F 2連に組み込み。(90年には7026F 2連に組み込み。)
→95.7改番 6750・6751
97年時点 7026F 4連 7026-6750-6751-7126
*2700・2710・2701・2711 (M:電機子チョッパ制御 1975)
→92.4/92.5電装解除
2760・2770 →6010F 6連に組み込み。
2761・2771 →6011F 6連に組み込み。
→95.7改番 6760・6770・6761・6771
6010F :6010-6510-6760-6650-6660-6770-6610-6110
6011F :6011-6511-6761-6651-6661-6771-6611-6111
6000系となった10両のその後をみてみましょう。
*2250・2251→6050・6150
2011年時点 6050F 8連
6050-7616-7516-7565-7575-7605-7505–6150
*2720・2721 →6762・新製6772
2011年時点 6015F 8連
6015-6515-6762-6655-6665-6772-6615-6115
*2750・2751 →6750・6751
2011年時点 6012F 8連
6012-6512-6670-6680-6750-6751-6612-6112
*2700・2710・2701・2711→6760・6770・6761・6771
2011年時点
6014F:6014-6514-6760-6114
6007F:6007-6507-6690-6590-6577-6770-6607-6107
6011F :6011-6511-6761-6651-6661-6771-6611-6111
そして、7000系に
6000系を名乗る旧2200系6050と6150が 7000系と組成されています。
6050FについてはM車はすべて7000系なので、性能的にもこれはもう7000系でしょう。
95年7月時点で、6050・6150 を名乗る意味がないように感じられます。
でも、震災を契機に10両そろって6000系に編入されていたことを考えると。
その時はこれでよかったのだという気がします。
バラバラになっても繋がっていたい。
そんな思いを大事にしたかったのが、あの時です。
阪急今津線 7000系6連_7005F⑥ 7190(2251→6150→7190)撮影 2019年11月 甲東園
2019年。
そんな6050Fが7616-7516-7565-7575を抜いた4連に短縮。
6050(旧2250)・6150(旧2251)は7090・7190に改番されました。
2019年7月より今津北線で7005-7105+7090-7605-7505-7190の6連を組成し活躍をはじめています。
震災のあの悲しい思いが消え去ることはありません。
でも、二十数年という歳月が流れたのです。
もう、とらわれなくてもいいかな。
新しい仲間に身を委ねた彼女の姿は やはりスマートに感じられました。
先頭車2250形について まとめます。
震災時:(6025F)+2250-2720-2721-2251
2250・2251→6050・6150
95.7時点 6050F 4連 6050-7616-7516-6150
00年時点 6050F 8連
6050-7616-7516-7565-7575-7605-7505-6150
19年時点 6050・6150→7090・7190に改番。
7005-7105+ 7090-7605-7505-7190 を組成
*2023/08/09 構成を変更 あわせて補筆訂正しました。
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