285系3000番台は「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」用としてJR東海がJR西日本と共同開発した夜行特急専用車両です。
山陰エリア・四国エリアと東京を結ぶ寝台特急として それまで14系客車によって運転されていた特急「瀬戸」「出雲」の車両を置き換えその名も「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」としてデビューしました。
列車は各々7両で編成され東京-岡山間は併結して14両で運転しています。
今や 定期夜行列車としては唯一の列車となってしまいました。
夜行列車が退潮ムードにあることは確かです。
しかし285系はいわゆる客車であるブルートレインとは違い電車です。
また設備を寝台/座席兼用として昼夜兼行の効率的な運用を狙った581・583系電車とも違って寝台(夜行)専用の電車となっています。
最終の飛行機より遅く東京駅を発車し始発の飛行機より早く目的地に到着することを目標にスピードアップを図りました。
機関車の付け替えを不要にするとともに高速運転をするためにも電車である必要があったのです。
営業最高速度は130km/h。寝台列車としてはもちろん日本最速です。
285系はJR東海とJR西日本が夜行列車の復権を懸けて開発した新世代の車両というべき存在です。
寝台は全て個室で サンライズツインやシングルデラックスなどがあり設備も多様です。
加えて寝台券なしで乗車できる「ノビノビシート」の設定もあります。
おサイフにもやさしい心配りがまたなんともうれしい。
なお車内は住宅メーカー(ミサワホーム)と共同で設計開発したものです。
木の温もりを生かしたインテリアに統一されており落ち着いた雰囲気が漂っています。
辛口批評の友人Dr.Kも285系はお気に入りです。
「個人的には、広いシングルデラックスと、ソロ、シングルの下段(階下)室が好きですね。
静かだし。でも、この車両を製作したときに、なぜあともう4編成(銀河、あさかぜ用に)つくっておかなかったのだろう?
そうすれば、少なくとも、あさかぜはともかく、銀河は廃止にならずにすんだでしょうに」
とおっしゃっています。全く同感です。
「サンライズ銀河」なら東京23時30分すぎ発で大阪7時前着というダイヤ設定も可能でしょう。
特急昇格で料金はアップしますが 車内のアメニティからすればリーズナブルです。
いやいや ノビノビシートならむしろ格安となるです。
夜行バス全盛の昨今とは申せ十分対抗できるのです。
それでは、なぜ「サンライズ銀河」が登場しないのか。
推測に過ぎませんが、その理由を考えてみたいと思います。
§1;サンライズ銀河は もうけにならない?
サンライズ編成の最大の問題点。それは編成あたりの定員が少ないことです。
7両編成あたりの定員は158名。対して東海道新幹線の1編成あたりの定員は1323名。
桁が違います。寝台券が必要な分 料金は一人あたり高めにはなるでしょうが、
走行時間あたりの収益でいっても列車あたりの必要経費から考えても投資効果が低いのは明白です。
それだけではありません。
加えて「サンライズ銀河」がJR東海管内を走行するのは深夜の時間帯のみ 乗車券の大半がJR西日本とJR東日本の駅で購入されてしまうというのも目に見えています。
極めて効率的な新幹線でもってその収益の9割を稼ぎ出してしまうJR東海にとって、
あまりおいしい話ではないといえそうです。
§2;285系3000番台は JR東海で最も影の薄い存在。
285系は全部で5編成(I1~I5)が製造されました。
そのうち3編成をJR西日本が所有(基本番台)し 残りの2編成がJR東海の所有(3000番台)となっています。
JR東海は夜行列車用の専用客車(583系電車も含めて)を国鉄から継承しませんでした。
今も昔もJR東海唯一の夜行列車専用車両となります。
しかし、285系3000番台は285系としては全体の5分の2という少数派です。
しかも運用上の都合から I編成としてすべて出雲鉄道部出雲車両支部に常駐し車両の運行管理もJR西日本に委託されています。
外見もJR西日本の基本番台車と特に変わるところはありません。
3000番台として JR東海に所属する車両があること自体 知らない方も多いのではないでしょうか。
加えて昼間は他社線内に留置され JR東海管内を通過するのは深夜の時間帯。
ですからJR東海にとって虎の子の存在であっても285系3000番台はJR東海で一番影の薄い車両になってしまっていると申せましょう同じJR東海の371系については首都圏に於けるJR東海の存在感をアップする広告塔の役割を果たしている。
と371系のページで申し上げました。
しかし285系3000番台にはJR東海の車両という存在感が薄いのです。
JR東海のイメージアップには あまり貢献していないといえるでしょう。
新幹線については 300系も700系も基本番台はJR東海でJR西日本は3000番台を割り当てられています。
対して285系は基本番台をJR西日本がとり3000番台をJR東海に割り当てました。
共同開発とはいえ285系はその足回りはJR西日本の223系がベースになっています。
JR西日本のアーバンネットワーク内での最高速度に合わせたためです。
イニシアチブが JR西日本にあるような感じになっているのもJR東海にとってはおもしろくないところでしょう。
急行「銀河」は JR西日本の24系客車でした。
ですからJR西日本が代替の車両を用意してもいいように感じられます。
でも「サンライズ銀河」となれば路線の大半がJR東海の管内です。
それはJR東海のプライドが許さないところです。
*この記事は2009年5月に記したものがベースとなっています。
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JR東海 285系I4編成 |
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