9700形は1997年に製造された日本初のLRV(超低床路面電車)です。
車体の製造と機器の艤装は新潟鐵工所ですが、LRV制作のカギとなる主要機器すなわち台車および電気部品はドイツのアドトランツ(ダイムラー・クライスラーレールシステムズ)社のブレーメン形(GTシリーズ)を使用しています。
アドトランツ社は車軸のない独立車輪を用いた特殊な構造で低床化を実現しました。(正確にはマン社が1990年に開発)
シーメンスでは各独立車輪にハブモータを取り付けましたが、アドトランツはレール方向に取り付けたモータに特殊な継手を組み合わせて車輪を駆動します。
連接構造となっていますが、連接部分にも台車はなく独立した車輪を1車体につき4輪配置し主電動機を1車体に1台搭載します。
なお9700形の形式はアドトランツではGT4N-ZRとなります。
「GT」に続く数字 4, 6, 8は 連接車の合計の車軸数 N, S, Mは 軌間でNは標準軌 (1435mm)
ZR は両運転台車(両側面に客用扉)
新潟鐵工所はアドトランツと業務提携し「車体は日本で製作し足回り(電機品・台車)を輸入する」という方法でこの超低床車「ブレーメン形」をライセンス生産しました。
熊本市交通局がこの手法を取り入れ9700形がその第一号となったわけです。
日本初のインバータ電車8200形の導入といい当時の交通局にあったチャレンジ精神には脱帽です。
9701は故障のため2012年から運用を休止、9702と9703も運用を休止しました。
9701は2019年に復帰しましたが9702と9703は2025年に廃止解体されました。
広電の5000形LRV(シーメンス製)と同じく海外組は維持するのが大変なようです。
代替の超低床電車は純国産、アルナ車両のリトルダンサーシリーズ(Type new-L)2400形です。
2車体連節の9700形(全長18.55m)に対し3車体連節の2400形(全長21.35m)は定員も約1.5倍(112人)となっています。
9700形
形式 9700 9701~05/AB 1997~2001年 製造 アドトランツ、新潟鉄工
18.550: 2.350: 2.940 21.0t 76 名
台車 ボルスタレス4輪台車 AEG モーター 誘導電動機 100kw × 2
VVVF制御 ブレーキ 空気.電気.回生.発電
参考文献 rp852 2011.8
9702A 撮影2001年

9702B 撮影2001年

アドトランツ社はダイムラーベンツが1985年に買収した「AEG:アルゲマイネ・エレクトリツィテート・ゲゼルシャフト」とスイス・スウェーデンの電機メーカー「ABB:アセア・ブラウン・ボベリ」の両鉄道システム部門を1996年に統合して発足したものです。1998年にはアメリカのクライスラーと事業統合しています。(2007年に解消)
ダイムラークライスラーの広告は伊達ではなかったんですね。撮影2001.4:祇園橋
9701B 撮影2008年

撮影2008.7:段山町
9704A パト電車 撮影2013年

撮影2013.8:西辛島町
その後のアドトランツ
1998年にアドトランツ社は7つの新型鉄道車両シリーズを発表。路面電車車両には「インチェントロ」と名付けました。
「インチェントロ」は従来の「ブレーメン形(GTシリーズ)」の他、2種類あった車両シリーズを集約して開発したものです。
2001年にアドトランツを買収したボンバルディアは この「インチェントロ」を継承。
新潟鐵工所はこれをベースに岡山電気軌道のMOMO(2002年)をデビューさせています。
万葉線MLRV1000形は2003年に新潟鐵工所の鉄道車両事業を継承した新潟トランシスが製造しました。
日独とも会社名が入れ替わってややこしいので私はこれらを「インチェントロ型」と呼んでいます。
| -路面電車研究-INDEX →鉄道車両写真集index |
| 熊本市交通局 路線まとめ 50形電動貨車 1050形 1060形 冷改 1080形 冷改 1090形 冷改 1200形 冷改 1350形 5000形 8200形 8500形 8800形 101 9200形 9700形 0800形 |
コメントを書く
コメントを投稿するにはログインしてください。