「1台車1モータ2軸駆動」弘南鉄道 大鰐線 デハ6000形(もと東急デハ6000形初代) 珍車ギャラリー#077

「1台車1モータ2軸駆動」弘南鉄道 大鰐線 デハ6000形(もと東急デハ6000形初代) 珍車ギャラリー#077

弘南6000形はもと東急6000形。1960年にデビューしました。先代の5200系譲りのセミステンレスカー(=車体枠などは普通鋼)ですが、次代の7000系の存在感が大きかったせいでしょうか、あまり存在感がありません。
東急7000系が日比谷線直通という任務を終えてなお7700系に改造されるなどして在京する仲間がいる一方で全国の地方鉄道でもその姿を見ることが出来ます。
対して6000形は1988年以降、青森県にある弘南鉄道で4両だけが平日朝の快速運転用としてひっそり余生を過ごしてきました。
(この記事は2006年12月に記したものがベースとなっています。)

東急6000系の台車は1台車でかつ2軸とも同じ1つのモーターで駆動させるという珍しい構造を持っています。
メーカーとその構造により試作的要素が強いA編成・B編成とA編成をベースに量産されたC編成の三つに大別されています。整理してみましょう。
A編成(4連×1)…東洋電機製造製の電装品・駆動装置(平行カルダン方式)を装備。モータはTDK893-A 100kw/375V
B編成(4連×1)…東京芝浦電気製の電装品・駆動装置(直角カルダン方式)を装備。モータはSE-57F   85kw/375V (6200系とも呼ばれています。)
C編成(4連×3)…東洋電機製造製の電装品・駆動装置(平行カルダン方式)を装備。モータはTDK893-B 120kw/375V

いずれも台車中央にモーターを1個置くのですが、A・C編成は枕木方向に置かれたモーターの片軸にギヤーボックスを取り付け、そこで回転軸を二手に分け、それを各々、撓み継手を介して車軸に伝える方式です。
対してB編成は車軸に対して直角に設置されたモーターの両側から出力軸が出ていて、そこから各々可撓継手とディファレンシャルギアを介して直角に駆動する方式です。
両者を比較した結果、B編成は出力が小さい上 可撓継手の不具合が多発したため度重なる改装の末、1983年にはVVVFインバータ試験車となりました。
A編成も翌年には同じく試験車となりその成果を9000系などに引き継ぎ自らはそのまま廃車となってゆきました。
C編成も安泰というわけにはゆかず日立製作所水戸工場に(それもトレーラーとして)、そしてこの弘南鉄道に譲渡され東急から姿を消しました。

ところで1台車でかつ2軸とも同じ1つのモーターで駆動させるということにどういうメリットがあったというのでしょう。
鉄道ピクトリアル#269(1972.9)の記事によると、
*モータの数を半減できるため、建造費と保守費を減らすことが出来るので経済的。
*2軸がモータを介して繋がっているため空転することがほとんどない。

となっています。しかし実際には先代の5000、5200系の直角カルダン駆動も含めて結構保守に手間がかかったようです。
モータの出力は120kwあるのですが個数が半分となるため出力不足でMT編成を組めません。ちなみに7000系の出力は70~80kwでモータの個数は2倍です。
建造費についてもトータルで考えればメリットは少なそうです。
そんなわけで7000系とそれ以降の車両については1台車2モータ、平行カルダン駆動というのが、定番のスタイルとなってゆきます。

大鰐線は弘前電気鉄道として1952年1月に開業した路線(大鰐~中央弘前間)で比較的新しい鉄道です。1970年10月に合併され弘南鉄道大鰐線となりました
なお1961年9月 全線1500ボルトに昇圧されています。このことで大手私鉄の中古車両を降圧などの改造をせずに導入できたわけです。

先頭車4両が1988年と89年に入線し、2連×2本(6005 – 6006・6007 – 6008)が大鰐線で運用されました。
入線にあたり回生ブレーキのカット、ATSの撤去、列車無線の交換、4連運転用のジャンパ連結器の装備などがなされています。
1991年にはワンマン化されました。降雪時に空転しないというメリットはどれくらい威力を発揮したのでしょうか。快速列車として使用されたのは出力不足がその理由でしょう。
2006年の快速列車廃止に伴い予備車となり、2008年にさよなら運転を実施しました。その後6005編成は廃車となり6007編成も車籍は残っているものの事実上の静態保存となっています。 

デハ6000形 デハ6005  1983年撮影

撮影場所:津軽大沢

形式 デハ6000  05 07 1961年 東急車輌製
18.000:2.800:3.715 29.0 t 台車:TS-315  定員:130(52)
制御装置:ACRF-H4120 モータ:TDK893-2E 120kw×2   7.26 ブレーキ:
参考文献:鉄道ピクトリアル「東北地方のローカル鉄道」#636 1997年4月

デハ6000形 デハ6006  1987年撮影

撮影場所:津軽大沢

形式 デハ6000  06 08 1961年 東急車輌製

18.000:2.800:4.050 29.0 t 台車:TS-315  定員:130(52)
制御装置:ACRF-H4120 モータ:TDK893-2E 120kw×2   7.26 ブレーキ:
参考文献:鉄道ピクトリアル「東北地方のローカル鉄道」#636 1997年4月

参考:日立製作所水戸工場専用線 BL-1+6003+6004

*勝田にある日立製作所水戸工場において6000形はBL(バッテリーロコ)に牽かれる通勤客車として使用されました。
工場から勝田へは推進運転でした。ギミックな電装を解除されたことでちょっと哀れな感じがします。
運転台を使わないわけですからこれでも問題ないというわけですが、方向転換してくれていたら、もう少し様になったのに…
HITACHIのロゴ入りですが東急車輌製です。この珍列車も、今はもう見ることが出来ません。

-ローカル鉄道車両研究- →鉄道車両写真集index  
弘南鉄道  歴史まとめ     (戦前の旧型国電の分類-30系、40系、50系)
大鰐線 モハ11 モハ105 108 モハ2231 モハ2250
 モハ3400
デハ6000 デハ7000 クハ16 クハ1266 クハニ71 ED22
弘南線 モハ3600① ② クハ16 クハ17 モハ2020→クハ20
クハ3600 3700 クハ3770 
デハ7100-7150 デハ7010-7020 ED30 ED33 

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