「追われ、追われて」長野電鉄 500形電気機関車「502」 珍車ギャラリー#453

「追われ、追われて」長野電鉄 500形電気機関車「502」 珍車ギャラリー#453

500形電気機関車は1927.28年(昭和2.3)年に日立製作所で新製されました。
1926(大正15)年に長野電鉄が発足した時機にあたり501~503としてデビューしています。
(のちED5000形 5001~3に改番)
さてこの直前(1926年(大正15)年)、鉄道省は日立製作所で1070形(ED15形)を製造しています。なんでも日立は鉄道省からのオーダーがないのにもかかわらず製造に着手し売り込みを図っていたそうです。長電500形は やや小ぶりながらこれと同類の箱形電機と申せましょう。

ところでこの「502」号機、何か違和感を感じませんか?

ED15形の画像はないんですが このモデルとなったED14形(近江鉄道)と較べてみてください。

そう「502」にはデッキがないんです。普通、正面の扉はデッキを通って運転室に入るためのものですよね。しかし「502」には側面に乗務員扉がついておりここから入るわけです。
では「502」の正面扉はどこに通じているのか?
そう扉の横にはハシゴがあります。これでもって屋根に上がるための扉としか思えません。
こんなの他に見覚えありません。珍車ですね。しかしもっと興味深いのは「502」の経歴です。

製造後「502」はED5000形5002と改番され 戦前戦後を通じて貨物列車をメインに スキーシーズンには国鉄からの直通列車を牽引するなど大活躍しました。
ところが長野電鉄は1969年に廃線となった定山渓鉄道よりED500形電気機関車を2両を譲り受けることになったのです。

ED500形は定山渓鉄道が豊平峡ダムの建設資材輸送用に導入したもので1957年製です。
定山渓鉄道は山岳路線を有していましたので抑速ブレーキを備えています。また空転検知装置に加え砂撒き管には凍結防止用のヒーターまで設置しました。
急勾配区間であり 降雪地でもある山ノ内線を抱えている長野電鉄にとっては申し分ない性能です。加えて製造されてから12年しか経っていないのです。
EF58形タイプのスマートな形状であり手頃な50t級箱形電機はまさにおあつらえ向けの出物だったといえるでしょう。
ED500形は長野電鉄ED5100形となりました。

このED5100形を2両導入した結果、ED5000形は活躍の場を奪われてしまいました。
1970年にED5002、ED5003は廃車となり越後交通へ譲渡されることになるのです。
ED5002、ED5003は越後交通でED510形ED511・ED512と改番され長岡線で貨物列車を牽引することになります。

それから9年後の1979年。長野電鉄は貨物営業を廃止しました。
余剰となったED5100形ですが、なんと2両とも越後交通に譲渡されることになったのです。
またもや活躍の場を奪われることになったED510形は余剰となり1980年に2両とも廃車されることになります。
長野電鉄の創業以来、活躍してきた場を追いやられたその張本人に またもやようやく慣れ親しんできた新天地を追われるという悲劇です。ED512は現地で解体されました。
ED511はどんな思いでED5100形を見つめていたのでしょうか。

そういえば 2020年から 3000系(元東京メトロ03系)が導入され、元営団3000系である3600系が廃車されました。そして2023年には最後まで残った3500系N8編成が引退、形式消滅となりました。かつて活躍してきた日比谷線から追いやられたその張本人に またもや新天地を追われるという悲劇が繰り返されています。

しかしながら、このED511は故郷の長野電鉄へ引き取られることになったのです。
小布施駅構内にある「ながでん電車の広場」で静態保存されることとなったからです。
その際、車体標記を旧番号の「502」に戻しています。

さて当時、長野電鉄ではED5001が残存していました。除雪・入換・工事・救援用として使用されていたのです。
こう言っては何ですがED5100形を1両残し ED5001を「501」として保存しても良さそうなものです。

それはさておき 1990年以降「ながでん電車の広場」に保存されていた「502」ですが、今度はここに2000系電車が保存されることとなり「502」は2012年の屋代線廃止直前に信濃川田駅に移設されることになりました。そしてここさえも安住の地とはなりませんでした。終の住処さえ2度も追われることになったのです。

ED5001は事業用として2002年まで在籍し続け車籍を失ってからも機械扱いではありますが須坂駅構内の入換作業に用いられました。
しかしながら2017年に解体処分されています。

2015年以降「502」が朝陽駅近くで保存されているためでしょう。結局「502」が貴重な一台としてその姿を留めることになったのです。

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長野電鉄  歴史まとめ  電気機関車 ED5000形 ED5100形 (珍車ギャラリー 502)
オリジナル車:デハニ200形  モハ610形 モハ1000形 モハ1500形 2000系 冷改 OS系 OS10系
転入車:2500.2600系 3500系 3600系 冷改  8500系 3000系 1000系ゆけむり 2100系スノーモンキー

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