「High decker-Super Express」小田急10000形 Hi-SE 珍車ギャラリー#217

「High decker-Super Express」小田急10000形 Hi-SE 珍車ギャラリー#217

小田急10000形「HiSE」は1987年.。小田急の開業60周年にあわせ増備されました。
ロマンスカーであるNSE車・LSE車と同様、前面展望席や連接構造は引き継ぎながら展望席以外の乗客も車窓の眺望を楽しめるように「高床構造」としたのが大きな特色です。
つまり「Hi-SE」は “”High decker””Super Express” の略ということです。ですがハイデッカーの意だけではなく「Hi=上級」の意も含まれているそうです。

1987年当時はちょうど国鉄からJRへの移行期であり目立った新車の登場は見られませんが、JR東日本では183系「あさま」に、またJR北海道(国鉄)の「フラノエクスプレス」、JR西日本「あすか」にも改造車ではありますがハイデッカー車が組み込まれています。
ちなみに日本で初めてハイデッカー前面展望室を設置したのは名鉄8800系パノラマDXです。これも84年から90年にかけて登場しています。

バブリー名時代でもありました。鉄道車両にも高級なものが求められる時代であったように思われます。

さて、10000形「HiSE」に話を戻しましょう。
上級のハイグレードなイメージを身に纏った10000形HiSE車でしたが制御装置はオーソドックスな抵抗制御(1C4M)です。モータ出力は140kW。駆動装置は平行カルダン駆動方式で歯数比は4.21。ブレーキはMBS-D形と基本的に足回りは7000形LSEと同じです。

小田急10000形「HiSE」1987年日車製、
制御装置:東芝 MM-39-A、抵抗制御(1C4M)。モータ:MB-3262A、TDK-8420A 出力140kW。
平行カルダン駆動 歯数比は4.21。ブレーキ MBS-D形

小田急電鉄 10000形 Hi-SE車 10041×11 編成表
←新宿⑪                 小田原①→
10041-10042-10043-10044-10045-10046-10047-10048-10049-10050-10051
M1c-M2-T1-M3-M4-M5-M6-M7-T2-M8-M9c
形式は電動車ががデハ10000形、付随車はサハ10000形
私鉄車両編成表 2011年版   撮影2009.8 代々木八幡

それにしても1980年デビューのLSEよりHiSEが先に姿を消す。というのはどういうことなのでしょう。
実は2000年に交通バリアフリー法が制定され高床構造のHiSE車は、このことが問題となり更新の対象から除外されたとのことです。
もっと悲惨なのは、1991年登場の20000形RSEです。RSEもまたハイデッカー構造であるがゆえにHiSEと運命をともにします。

国土交通省のサイトでは鉄道各社のバリアフリー達成率が一覧表で示されています。
車両毎に加え編成毎の対応状況が一覧表で示してあり、編成毎に捉えられていることは、さすがにその実態をよくふまえられていると思うのです。
しかし、車両毎の数字が示されているのなら、その数字が独り歩きします。

鉄道事業者は「ひとにやさしい」というキーワードに敏感です。そうあるべきだと思います。しかし私は編成毎に対応すれば十分だと考えています。
確かにバリアフリーは大切なことです。さりながら、何が何でも全車両に同様の対応をするというのはいかがなものでしょうか。
バリアフリー法ゆえに二階建てやハイデッカーの車両が作れないとなれば、それは車両のデザインの可能性を損ない車両一両あたりの着席定員の増加も望めなくなります。

では、ここで交通バリアフリー法の関連する部分を見てみましょう。
(「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、平成12年法律第68号、平成12年5月17日公布、平成12年11月15日施行)

2 階建て車両等でやむを得ず段差が生じる場合は段差端部(段鼻部)の全体にわたり幅50mm 程度の太さで周囲の床の色とのコントラストを確保し、容易に当該段差を識別しやすいものとする。車内に階段がある場合には 高さは200mm 以下、奥行きは300mm 程度、通路の幅は800mm 以上とする。

ということで別に2階建てやハイデッカー車を作ってはならない。といっているわけではないのです。

間違ってもらっては困るのですが、私はバリアフリー対象となる方々を隅に追いやれば良いといっているのではありません。
二階建てやハイデッカーという非対応車へのアプローチが、対応車側でなされているとか、そういう工夫が大切だといっているのです。
そういう意味で、最低3両中1両がバリアフリー対応であれば、それでOKと見なすべきではないでしょうか。
なべて同じサービスをするということは、効率が良いという点もあるでしょう。
しかしそれでは差し障りのない没個性的な車両しか生まれてこないのではないでしょうか。
サービスは国の指導だけではなくあらゆる乗客の声に耳を傾けるべきものです。

JR東海の新幹線では携帯電話の使用が可能となりました。ビジネスマンにとって、携帯電話は必需品です。かかってきたかなら、デッキに駆け込まなければならないわけですが、
誰がこのことをサービスと思うでしょう。
もっとも傍若無人に大声で通話することがマナー違反であることは、いうまでもありません。しかし、静かに過ごしたい人にとっては、小声であっても気になるものです。

つまり、携帯電話の使用を認めるのなら、一方で、携帯電話が使用できないサイレンスカーを設定するべきなのです。
JR西日本の「ひかりレールスター」で好評であったサイレンスカーが「のぞみ」に拡大されず「みずほ」「さくら」にも受け継がれることもなく2011年3月をもって廃止されたのは残念なことです。

異常時を除いて車内放送が流れないほか、車掌の声かけも省略するという徹底したものであったため「乗り過ごした」と苦情もあったそうです。
しかし、サイレンスカーのおかげでゆっくりできた。癒された。という人も多いのではないでしょうか。
乗車率が低いこともその原因だそうですが、それは「みどりの窓口」で、指名がない限り発券しなかっただけの話です。
サイレンスカーという発想自体が否定されたわけではない。ということを考えて欲しいと思います。

ハイデッカーや2階建てという発想も「人に優しくない」とか「バブリーなものに過ぎなかった」と頭ごなしに否定しないでいただきたいのです。
いつもと違う視線で、いつもの駅から旅に出る。そんな-旅立ちの高揚感-が私は大好きです。

長野電鉄 1000系 S1編成

2005年に10021F・10061Fが廃車、これらは長野電鉄に譲渡。
2011年、10041F廃車。10001Fも2012年3月に運用を終了。

長野電鉄1000系「ゆけむり」S1編成
← 湯田中①              ④長野 →
デハ1001-モハ1011-モハ1021-デハ1031
(デハ10031-デハ10030-デハ10022-デハ10021)←小田急時代:10021F
*長野電鉄では8500系導入以降、電動制御車を「デハ」、中間電動車を「モハ」と呼称しています。
撮影 2011.8 須坂

この記事は2012年3月に記したものがベースとなっています。

-鉄道車両写真集-
小田急電鉄 3000系SSE車  3100系 NSE車 20000系 RSE車    10000系 HiSE車
長野電鉄1000系 ゆけむり の車両たちへJUMP

珍車ギャラリーカテゴリの最新記事