富山ライトレール TLR0600形 ポートラム 「インチェントロ型」 2006~20年 

富山ライトレール TLR0600形 ポートラム 「インチェントロ型」 2006~20年 

富山市は路面電車による「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」をめざすことになりました。
そこで JR西日本 富山港線をこのネットワークに組み込むべく3セクの新会社 富山ライトレールが2004年に設立されます。
その富山ライトレールが2006年の開業に向け導入したのが2車体連接超低床電車TLR0600形です。
愛称は富山港にちなんで「PORTRAM  ポ-トラム」。所有者は富山市です。
岡電MOMO、万葉線アイトラムに次ぐ「インチェントロ型」(ボンバルディアと新潟トランシス製のコラボ車両)です。
三相誘導電動機(BAZu3650/4.6 100kw×2)を客室座席直下に装荷、ここから独立車輪(×4輪)に自在継手を介して動力を伝える直角カルダン方式を採用しています。
制御装置はIGBT素子によるVVVFインバータ制御で屋根上に設置しました。
発電・回生併用ブレーキ、油圧式ディスクブレーキを常用とし加えて電磁吸着ブレーキを保安用として備えます。
鉄道線に乗り入れるため最高運転速度を60km/nと高めに設定しています。
(インチェントロ型の設計最高速度はいずれも70km/h)

これからのJRローカル線に新しいあり方を示したものとして注目されTLR0600形は鉄道友の会のブルーリボン賞を2007年に受賞します。
「インチェントロ型」の評価は高く、岡電のMOMOは2003年にローレル賞に加えグッドデザイン賞も獲得しています。(万葉線MLRV1000形も2004年度にグッドデザイン賞を受賞)
いずれにせよこれら「インチェントロ型」が高く評価されたことはこれからの路面電車のあり方に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
新潟トランシスは TLR0600形(2006年)以後、熊本市交通局0800形、富山地方鉄道デ9000形(2009年)と「インチェントロ型」を製造することになります。

富山ライトレール 0600形

富山ライトレール 0600形 「PORTRAM(ポートラム)」
01~07 2006年 ボンバルディア-新潟トランシス製
18.400×2.400×3.745  25.0t   編成定員80名(24席)
モーター:BAZu3650/4.6(AEG製)100kw ×2 制御装置IGBT-VVVFインバータ(MAP-102-60VD140
シャフト駆動 ブレーキ:回生発電併用電気ブレーキ 参考:鉄道ピクトリアル #852 2011.8 他

TLR0607A

TLR0607B

撮影2009.3:富山駅北

TLR0604A

TLR0604B

撮影2009.3:富山駅北

2015年の北陸新幹線の開業により富山駅が高架になったことから2020年に富山ライトレールと富山市内線が合体し富山港線は市内線ネットワークに組み込まれました。
富山ライトレールは2020年に富山地方鉄道に統合され発展的解消、0600形の車体に表記された車両番号から”TLR”が消去されました。

2019年に増備されたTLR0608は富山地方鉄道9000形に合わせたマイナ―チェンジが行われ新形式「TLR0600E形」となっています
モータが東洋電機製になりました。

万葉線 MLRV1000形 「AI-TRAM(アイトラム)」
01~06 2004~09年 ボンバルディア-新潟トランシス製
18.400×2.400×3.407  21.0t   編成定員80名(30席)
台車:3EGS10000-5845 モーター:BAZu3650/4.6(AEG製)100kw ×2
制御装置IGBT-VVVFインバータ(MAP-102-60VD118)
シャフト駆動 ブレーキ:回生発電併用電気ブレーキ 参考:鉄道ピクトリアル #852 2011.8 他

富山地方鉄道(軌道線) デ9000形 「CENTRAM(セントラム)」
01~03   2009年 ボンバルディア-新潟トランシス製
18.400×2.470×3.407  25.0t  編成定員80名(28席)
台車:GT4S モーター:BAZu3650/4.6(AEG製)100kw ×2
制御装置IGBT-VVVFインバータ(MAP-102-60VD140A)
シャフト駆動 ブレーキ:回生発電併用電気ブレーキ 参考:鉄道ピクトリアル #852 2011.8 他

インチェントロ型について

新潟鐵工所はアドトランツと業務提携し「ブレーメン形」をライセンス生産しました。
熊本市電9700形(1997年)がその第一号となります。
1998年にアドトランツは7つの新型鉄道車両シリーズを発表。
路面電車車両は
ブレーメン形」の他、2種類あった路面電車シリーズの技術を集約して「インチェントロ」ブランドを確立しました
2001年にアドトランツを買収したボンバルディアは この「インチェントロ」を継承。
新潟鐵工所はこれをベースに岡山電気軌道のMOMO(2002年)をデビューさせています。
2003年に新潟鐵工所の鉄道車両事業を新潟トランシスが継承したとき「インチェントロ」のライセンスも継承しています。
日独とも会社名が入れ替わってややこしいので私はこれらを「インチェントロ型」と呼ぶことにします。

-路面電車研究- →鉄道車両写真集index
富山地方鉄道 軌道線 路線まとめ 7000形 7000形冷改 8000形 9000形 T100形
☆富山ライトレール TLR0600形

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