「SB129B形電動機」京福電気鉄道(嵐電)モボ631形 珍車ギャラリー#439

「SB129B形電動機」京福電気鉄道(嵐電)モボ631形 珍車ギャラリー#439

「電車なんてどれも同じだよね」なんて言われると がぜん
「そうではない!」と言いたくなるのが車両鉄です。
まず目に付くところで 扉の位置とか窓の形とかを指摘し その違いに注目させます。
「それがどうした」と言ってくれればしめたものです。
扉がそこにある意味、そしてそれが過去と較べてどう違うのかなど 語って聞かせることができます。
私としては 台車なんかは大好物です。
目立たない床下にあるものですから 逆にこっちの方が熱くなりすぎてしまうことも多々あります。

さて 次の画像をご覧ください。嵐電(京福電気鉄道)のモボ611形とモボ621形です。
デビュー当時は 台車が違っておりました。


モボ611形はモボ111形のKS46台車をモボ621形はモボ121形のBWE12台車を流用した車体更新車としてデビューしたからです。
モボ111形とモボ121形の画像もご用意しましたのでご確認ください。

車体デザインも大きく変わり、冷房もついたことから形式を改めたというわけです。
なお新形式の下二桁目は種車に由来します。

さりながら嵐電では車両の共通化を進めており古い台車も取り替えをすすめています。
2025年現在、モボ611形、モボ621形は全てFS93台車に統一されています。
というわけで私には もはや車番を見る以外に区別はできません。
いや区別する意味はないでしょう。
ですが私は区別できないことにこだわっても仕方がないと言っているのではありません。
前述したような変遷を経てきたことにこそ 意味があると言いたいのです。

ここでモボ631形です。台車が違います。FS93台車です。
前述したように いまやモボ621形はFS93台車に取り替えられているので区別は付きません。
しかし、モボ631形は1995年のデビュー当時からFS93台車をはいているのです。いったいなぜ?

モボ631形の種車はク201形です。
彼女について説明する前にモボ121形についておさらいしておきます。
モボ121形は1936~37年(昭和11~12年)に製造されました。
(121~130:川崎車輛製)
連結運転をするため当初より連結器を装備しています。
制御器は間接自動制御の芝浦製 RPC50、電動機はSE129B(44.8kw×2)でした。
ところが1950年にモータを装備しないク201形が運用を開始することになったのです。


この時 モボ121形のうち121~ 124が牽引車として指定されました。
そこで彼女たちの主電動機を4個に増強したのです。

モボ121形は1984~96年に廃車され形式消滅。
主要機器類を流用して新車モボ621形に生まれ変わったということについては前述しました。
その際 4個モータ車であるモボ121形(121~124)には余剰モータが発生するということになります。
これを転用したのがモボ631形です。種車がク201形となっているのは台枠その他も流用したからでしょう。
とはいえク201形の台車LW133(汽車)では電動機を装架できません。よってFS93台車を新製したのです。
制御器については叡山電鉄旧デナ21形(1995年全廃)のPRC51(芝浦製)を流用したようです。
(鉄ピク685号72PにはRPC55とある)
実はモボ301形(1971年製)の制御器もPRC51です。
鉄ピクの445号P104に叡山電鉄から流用とあります。
先例があるのです。24年前のことですがモボ631形もモボ301形も同じ武庫川車両製です。
(RPC51は2008年に嵐電の新標準型制御器ML-13-112Bに更新されています)

それにしてもSB129Bはモボ101形にも装備されている1936年(昭和4年)製の電動機です。
それを1995年製の電車に流用するというのはスゴイ。
そして今もなお この齢89歳の電動機が健在なのです。

目に見えないところに京福電気鉄道のこだわりが感じられます。

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