新幹線の形式からわかること
149形って 何かわかります?100系新幹線に組み込まれているダブルデッカーの1形式です。
国鉄 JR の車両は「クモハ」とか「タキ」とか カタカナでその種別が分別されています。
新幹線にカタカナ表記はありません。ですがその数字から種別を導き出せるのです。
1の位
1、2:制御電動車(1=西向き、2=東向き)クモ
3、4:制御車(1=西向き、2=東向き) ク
5~7:中間電動車 モ
8、9:付随車 サ
10の位
1:グリーン車 ロ(7:N700系のグリーン車)
2:普通車 ハ(8:N700系の普通車)
3:食堂車、ビュッフェ車 シ
4~7:2階建て車両
100の位=系列
1~8:100系~800系(0は記載なしで0系)
9:試作車、試験車、事業用車
JR東日本の場合、Eがつきますが E514ならE5系のグリーン車で制御車Tcとなります。
在来線ルールなら クロ-E501というところでしょうか。
そこで今回取り上げる149形です。
1の位が9となっていますからこれはモータを持たない付随車とわかります。
4ですからダブルデッカー、それも100系ということで さしずめサロ140形?
100系新幹線
国鉄が東海道山陽新幹線の本格的モデルチェンジ車としてデビューさせたのが100系です。
新幹線のイメージアップのみならず内装や技術面でも大きな足跡を残しました。
一方、編成定員および車両の製造費は0系と同等のものとした労作でもあります。
まず1985年3月に9000番台が X0編成として落成します。公式試運転では260 km/hをマークしました。
1986年に量産化改造しX1に改番されています。
なおX編成は100系登場時に組まれた編成です。
ダブルデッカーの食堂車168形、グリーン車149形を連結しているのが大きな特色です。
9000番台は量産化改造されX1編成となりましたので量産車0番台のトップナンバーはX2編成となります。
X編成は1985年3月~87年3月までに16連×7=112両が製造されました。
JR東海となり1987~92年までに落成したのがG編成です。「100’(ダッシュ)系」とも呼ばれます。
X編成では⑧号車に食堂車168形を連結していましたがG編成では⑧号車に148形を連結します。
2階がグリーン室で1階はカフェテリアというダブルデッカーです。
⑨号車には149形が追加されていますがG編成では100番台と区分されました。
これ以外はX編成の車番を引き継いでいるのにこれだけがなぜか?
よって149形の車番だけが G編成の編成番号と同じです。
これが今回の珍車です。
G編成は 1992年までに16連×42=672両と大量に増備されています。
よって149形100番台は42両を数えます。
0番台が15両、9000番台は1両ですから、こちらの方がよっぽど珍しいのですよね。
なぜこちらを珍車としたのか。それは個室のバリエーションです。
149形100番台の個室
9000番台の1階部分はなんと当初カラでした。のち「一人用が4室、三人用が4室」となります。
100系9000番台 X1編成⑨ 149-9001
0番台の1階部分は「一人用が5室、二人用は3室、三人用が1室」
100系 X2編成⑨ 149-1
100系 G43編成⑨ 149-143 通路側
そして G編成では「一人用が3室、二人用は3室、三人用が1室、四人用が1室」 となりました。
これだけのバリエーションを1両に詰め込んだのが149形100番台です。
1車両にこれだけ揃えているのは在来線を含めてもこれ以外にはありません。
東海道山陽新幹線に個室を設置する構想は昭和50年代後半にはすでにありました。
「個室ひかり」と題したパンフレットが関係者にくばられており、そこには4人用でありながら6人での使用も可能というグループ個室やベッドとしての利用も可能にするなど新しい旅客需要を開拓する意欲的な試みが示されていたそうです。
国鉄がこれを100系でカタチにし、JR東海がG編成において「個室」という可能性を受け継いでいたことは特筆に値するものだと思います。
ということで 149形自体も 試作車的な存在だったと考えるべきかもしれませんね。
されど やんぬるかな。JR東海が高速化を目指し社運をかけたモデル300系には個室は存在しません。
グリーン車は平屋でその数を最大限 揃えることが重視されました。
東海道新幹線は その時すでに輸送力の限界に達していると判断されたのかもかもしれません。
しかし、個室グリーン車という発想はユーザーの多様な要望に応えるものです。
格差社会に迎合しているといわれれば、身も蓋もないのですが、「個室」にせよ「グランクラス」にせよ、そこには憧れがあります。
私は東海道山陽新幹線が魅力に溢れた存在であり続けて欲しいと思っています。
149形はその夢を 可能性を 伝えてくれているものだと思うのです。
参考文献:「グリーン車の不思議」佐藤正樹 2012年 交通新聞社
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