クモハ224形700番台は2023年3月より新快速の座席指定車「Aシート」車として増備されました。
一般車に座席指定車を組み込むという発想は南海が最初ではないかと思うのですが、それに火をつけたのは2017年8月にデビューした京阪のプレミアムカーだと思われます。
1989年製の8000系(2010年リニューアル)の⑥号車8550形を改造しました。
2021年からは3000系にもプレミアムカーをプラス。こちらは新造車両です。
結果、京阪特急には必ずプレミアムカーが付いているという体制を整えています。
先日、乗車しました。紅葉が映える晩秋の京都、それも休日の夕方、大阪行きの京阪特急に四条から座れるなんてまず無理です。案の定大行列。涼しい顔してプレミアムカーに乗り込むのはなんという優越感でしょう。
もともと京阪特急のクオリティは高いのですが、+500円でも本当にお値打ちです。早めにチケット取っておいてよかった。
京阪は所要時間という点において 阪急やJRには勝てはしません。
そこで速さで勝負するのではなく「より高級感を出す」ということで競合他社との差別化を図ったのは大正解だと思います。
2025年の秋からは編成中2両に増車する予定だそうです。
阪急も負けじとプライベースをデビューさせました。
京阪や阪急と較べますとささやかなデビューですがJR西日本も2019年3月から223系新快速に座席指定車を導入しています。Aシート車です。
これは京阪8000系8550形と同様改造車で種車となるのはクハ222-1007、1008です。
座席をリクライニングシートにするのみならず、車体中央のドアをつぶし2D車としました。
でも これだけ大きな改造を施しながら改番もしないというのは意外でした。それもたった2両しかありません。
国鉄時代、快速にグリーン車を連結したものの撤退したそんな思いを引きずっているからでしょうか。
京阪8000系が2017年に10編成全てをプレミアムカー編成としたのとは対照的です。
2023年にクモハ224形700番台が登場するまで、Aシート車が連結されていたのは新快速1号~4号だけ、つまり2往復しかありません。
13:03に姫路到着の新快速1号は18:10発の新快速4号まで昼寝を決め込んでいました。
やる気があるのかと思われた方もあるでしょう。
しかし Aシート車とプレミアムカーとはコンセプトが違うのです。
新快速の基本編成は8連です。ラッシュ時などの混雑時には付属編成4連を連結して運行します。
Aシート車はこの付属編成に連結されています。
すなわち、混雑時に必ず座れるというサービスを提供するものなのです。
運転台付きの車両となっているのは基本編成8連のすぐ後ろに連結し少しでも編成中央にAシート車を配置するためです。
また運転室は車掌さんが常駐する乗務員室ともなります。
2023年3月、クモハ224形700番台が加わりAシート車は4編成で6往復運転となりました。
毎朝(平日)網干を5:45(2号)6:34(4号)7:21(6号)に発車、野洲に向かってゆきます。
「らくラクはりま」と合わせて播磨地区の着座サービスは浸透しつつあります。
豪華さでは京阪のプレミアムカーに及びませんが、Aシート車は速達性という強みに加えて使い勝手のよいアーバンネットワークの中核に位置します。
特急並みの快適空間を提供するクモハ224形700番台は京阪の牙城に迫るつもりで開発されたものと思われます。
次の展開が楽しみです。
参考文献:「新車速報 クモハ224形700番台」鉄道ファン#744 2023.4
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