「とってつけた窓」JR北海道 キハ40形330番台 珍車ギャラリー#432

「とってつけた窓」JR北海道 キハ40形330番台 珍車ギャラリー#432

2024年現在、その数を大きく減らしつつあるJR北海道のキハ40形ですが、一昔前までは北海道ローカル線のヌシともいうべき存在でした。
珍しくもない。とお思いではないでしょうか。でもよくご覧ください。

とってつけたような左端の窓。そうこれは、取って、付けた窓です。
そしてこれこそがキハ40形330番台が辿ってきた道程を示すものなのです。

JR北海道に引き継がれたキハ40系

1977年から製造が始まったキハ40系のうちJR北海道が引き継いだのは両運転台のキハ40形100番台 150両と片運転台のキハ480形300番台/1300番台(4/3両)の7両です。なおキハ40形に0番台は存在しません。


(画像)キハ40形100番台   トイレ付き両運転台車 キハ40-104(首都圏色)

当初キハ40系に搭載されたDMF15HSAエンジンは220psと車体の割には非力でした。
JR北海道でもエンジンの換装を行いキハ40形100番台のうち(141-149)は1988年にキハ400形に改造されました。
でも9/150両に過ぎません。対して、
キハ40系の片運転台車で北海道向けとなるキハ48形300番台(301~04:トイレ付き)と1300番台(1301~03:トイレなし)については4両がキハ480形に改造されました。
これは単行では使えないキハ48形を活用するために急行用としたからです。
そしてそのためにキハ40形も動員されることになったのです。

(画像)キハ48形300番台 トイレ付き片運転台車 キハ48-302(JR北海道色)

窓をとって…急行に キハ400形100番台

北海道の急行用気動車といえばキハ56系でした。(内地ではキハ58系に相当)
しかし冷房車ではありません。

(画像)JR北海道 キハ56形 冷房準備車 キハ56-204

そこで国鉄はもともと臨時列車などの波動用車両であった14系客車を動員します。
14系客車は特急車両に準じる冷房車です。これを遊ばせるのは得策ではありません。
折しも国鉄末期、貨物列車が激減し機関車が余っていることもあって宗谷本線などで活用されることになりました。

(画像)スハフ14形500番台 急行「利尻」

JR北海道はこれを引き継いだのですが、それほどの需要もなく走行性能も劣る客車列車はお荷物的存在となっていました。
JR北海道には急行用気動車としてキハ56形が継承されていました。しかし前述したように冷房車ではありません。
仮にいまさら冷房化しても「昔に戻った」と思われることは必至です。
そこで「宗谷」・「天北」・「利尻」などに使用されていた14系客車 を置き換えるために白羽の矢が立ったのがキハ40形、とりわけキハ48形だったのです。
各停ローカル用であるキハ40系をそのまま転用できるわけはありません。
函館本線での高速運転や宗谷本線での勾配区間に対応するため エンジンをDMF13HZ (330 PS / 2,000 rpm) に、変速機も多段式のN-DW14Bに換装しました。
当然
アコモデーションも改められリクライニングシートに交換されています。
キハ400形についてはトイレに加え洗面所も新設しました。(キハ480は全車トイレなし)
塗装も改め新形式のキハ400形、キハ480形として
1988年デビューします。

キハ400形:キハ40-141 ~ 149 → キハ400-141 ~ 149
キハ480形:キハ48-304 → キハ400-304  
キハ48-1301 ~ 1303 → キハ480-1301 ~ 1303

(画像)キハ400形100番台  急行「サロベツ」 キハ400-145

これからの急行に冷房は欠かせません。キハ400形は冷房装置 (N-AU400)を搭載。
発電用電源エンジンでもって駆動します。電源を持たないキハ480形へも給電します。
この時、キハ400形に機器室を設置。ここにあった窓が取り除かれることになったのです。
キハ400形は機器室・便所・洗面所付きの両運転台車ですので定員は48名と少なくなっています。
キハ480形は68名でキハ400形とあわせて使用するのが前提となります。
冷房だけの問題ではありません。彼女らはキハ400系という運命共同体なのです。

(画像)キハ480形1300番台 急行「宗谷」キハ480-1303

2000年3月 キハ400系は急行列車の特急格上げに伴い定期運用から外されました。

窓をつけて…札沼線へ キハ40形330番台

余剰となったキハ400系でしたが札沼線に転用することになりました。
札沼線にはキハ141系.143系が3連から6連で札幌近郊の通勤輸送に活躍していました。
1995年から冷房化工事も行われており、格好の移転先でした。
もっとも急行用のままでとはいきません。
座席はすべてロングシートとなり、客室・デッキ間の仕切り壁や引戸は撤去されドアはボタン開閉式の半自動となりキハ143系と仕様を合わせました。
冷房装置もキハ143系と同様、機関直結式のN-AU26に交換されます。
キハ400形に搭載されていた電源装置は撤去、この時、機器室跡に窓が一つ追加されました。

キハ40形330番台 :キハ400-144 ~ 148 → キハ40-331 ~ 336 (141~143は1997年にお座敷気動車に改造(500番台))

キハ480形もキハ40形300番台同様の機関直結式冷房装置のN-AU26に交換され単独で冷房運転できるようになりました。

キハ48形1330番台キハ480-1301 ~ 1303 → キハ48-1331 ~ 1333(304は2007年に廃車)

2012年札沼線電化(学園都市線:桑園 – 北海道医療大学間)により札沼線から姿を消しました。

キハ400系
 キハ400形 100番台 500番台

 キハ480形 300番台 1300番台

 キハ40系
 キハ40形 100番台 700番台 1700番台
日高本線用 350番台
札沼線用  300番台 330番台 400番台
キハ48形 300番台 1330番台

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