政府が計画する北陸新幹線「小浜ルート」の建設費が約3.9兆円と当初想定の2倍となり。
15年とした工期もさらに10年ほど延びる見通しだそうです。
でも本当に25年先になったらできるんですか…? ここは発想から変えてゆくべきです。
私の構想は10年先の完成を目指します。どうかおつきあいください!
北陸新幹線は整備新幹線ですから国土交通省も一所懸命に着工に向け作業を進めておられるようです。
先日、京都駅周辺のルートについても三案が提示されました。
京都盆地の地下は豊富な水を蓄えています。ここに地下線を築くことは水脈を断つことになるのではという危惧もあり桂川駅のところに新幹線駅を設ける案もありました。
さすがにJR西日本の社長さんもこれには難色を示しておられましたが、京都駅の地下であってもかなり深いところに設置することになると思われます。
ここから京田辺市を経由して新大阪に向かうというのですが、新大阪駅も地下です。
どこへ向かうにしても不便なインフラを巨額の費用を投じて建設する意味があるのでしょうか。
私には負の遺産を子孫に押しつけているような気さえするのです。
「整備新幹線」とは、全国新幹線鉄道整備法に基づき1973年に整備計画が決定されたものです。
1989年の高崎~軽井沢間着工を皮切りに これまで東北新幹線盛岡~新青森間、北海道新幹線新青森~新函館北斗間、北陸新幹線高崎~敦賀間、九州新幹線博多~鹿児島中央間、西九州新幹線武雄温泉~長崎間が開業しました。
整備新幹線が着工されるのには次の5つの条件を満たす必要があります。
①安定的な財源見通しの確保
②収支採算性
③投資効果
④営業主体としてのJRの同意
⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意
前述したように当初の2倍という巨額の費用を投じなければならないことになってしまいました。
これでは②収支採算性も③投資効果も見込めません。
①について京都府も負担を求められるということですが 同意するとは思えません。
米原ルートを再検討すべきだという意見が出てくるのは当然です。
しかし米原ルートもトーンダウンしているようです。
それは④JRの同意を取りつけなければならないからです。
米原ルートはJR西日本においてもJR東海においてもデメリットが大きいのです。
JR西日本の言い分はこうです。
「米原ルートにすると米原-新大阪間の運賃収入をJR東海に奪われてしまうではないか」
となればJR東海にとってはおいしい話ですね。
なのになぜJR東海は難色を示すのでしょう。
それは北陸新幹線の乗客を捌ききれないからです。
東海道新幹線は1時間に20本もの過密ダイヤです。
乗り入れさせるなどとんでもない。
16両編成の「こだま」や「ひかり」であっても余裕などないのです。
これで詰み…ですね。いや違います。
多額の建設費用もかからず10年でこれらのデメリットを一気に解決できる方法があります。
それは米原-京都間を複々線化することです。これを私は近江ルートと名付けます。
具体的にいうと米原駅の東5kmの地点に北陸新幹線との結束点を設けます。
これを仮に米原東信号所と名付けましょう。
北陸新幹線および「こだま」はここから本線と並走し米原駅の待避線11番線に滑り込んでゆくのです。
私の考えでは米原駅は現状のままです。
ただ違うのは「こだま」が米原駅で「のぞみ」を2本待ちすることはありません。
そのまま外側の新線を走行し「のぞみ」をやり過ごします。
北陸新幹線も同様です。
こうすればJR西日本は米原から先、収入を奪われることはありません。
逆に「こだま」から通行料を得ることができます。
JR東海にとっては損しているように見えますが、東海道新幹線の線路容量をUPするメリットは大きいのです。
京都-新大阪間も複々線化するのが一番ですがこれを10年で達成するのは困難だと考えています。
とりあえずは京都駅を北陸新幹線の終点とします。(それも無理なら大津南信号所(仮))
京都駅もそのまま使います。同じホームで東海道山陽新幹線に乗り換えができます。
加えて、もし新大阪止めの「こだま」あるいは臨時の「のぞみ」などを京都止めにしてもらえたならそのスジに北陸新幹線をあてがいそのまま山陽新幹線にも乗り入れてゆくこともできます。
ダメだとしても乗り入れは実現したいところです。
超過密ダイヤにはなりますがこの区間は平行ダイヤを組むことができます。
多少のスピードダウンは仕方ないとしても北陸新幹線をそのまま山陽新幹線に乗り入れてゆく利便性は利用者にとっても大きいものがあります。
富山発 博多行きの新幹線が誕生すれば 北陸三県のみならず西日本全体が活気づくでしょう。
JR西日本にはもう一つメリットがあります。
草津線との交差点に新栗東駅を北陸新幹線の駅として新設するのです。
野洲止めの列車をこちらに誘導すれば人口が集中する大津、石山、草津といった滋賀県南部の乗客を北陸新幹線(東海道新幹線)に誘導することができます。
こういっては何ですが新小浜駅とは桁違いの収益をあげることができます。
滋賀県にとってもこのメリットは大きいのです。
この数字。何かおわかりですか?
24500×3380×3650 mm
これはE7系の車体長×車体幅×車体高です。
ちなみにこの数値は0系も700系も同じなんです。
先頭車やドアの位置など多少違いはありますが50/60Hz対応のE7系は東海道新幹線に乗り入れ可能なのです。
ただし大きな問題があります。
東海道新幹線と北陸新幹線の保安システムを統一しなければならないと言うことです。
鉄道はつながってナンボのものです。
国鉄がJRに分割されたとき 全国ネットのメリットは継承されるはずでした。
現在、運賃こそ通しで計算されますが、特急料金は別途計算になりつつあります。
直通運転も継承されるはずでした。しかし全国ネットのメリットを享受できる夜行列車はほぼ絶滅状態となってしまいました。在来線も例外ではありません。
直通列車が消えてゆくのは直通するJR各社、双方の言い分がぶつかり合うからです。
協議するのさえ面倒なことだというのが正直なところでしょう。
こんな現状では新幹線の保安システム統一など夢のまた夢なのかもしれません。
しかし ここであきらめたら日本の新幹線は終わりです!
私が10年にこだわるのは 10年後にリニアが品川-名古屋間で先行開業する予定だからです。
さすれば「のぞみ」の大半がリニアに映り東京-名古屋間には余裕が生じます。
保安システムさえ統一できれば ここにJR東日本の東北、上越新幹線を乗り入れさせることができます。
リニアの起点は品川です。わざわざ在来線に乗り換えるなんてナンセンスです。
JR東日本、JR東海のみならず利用者にとってもこのメリットは大きいのです。
リニア開業のあかつきには「しらさぎ」も新幹線化したいところです。
現在、東海道新幹線経由で北陸へ向かう乗客は減る一方です。
しかし「しらさぎ」が乗り換えなしで北陸三県に乗り入れできればリニアの時短効果で乗客を取り戻すことができるでしょう。
リニアの価値をより高めてゆくことはJR東海にとって死活問題です。
そのためにも保安システムの統一は必須の条件なのです。
米原駅の13番ホームに「しらさぎ」が乗り入れてくる日を私は信じたい。
そのためには誰かが音頭をとらなければなりません。ここは国が動くしかないでしょう。
JR総研にいや日立でもいい資金を投じ、これを全力で成し遂げて欲しいのです。
日本は国を挙げて高速鉄道を輸出しようとしてきました。
今回の新幹線システムの統一は極めて困難なものとなるでしょう。
しかしあらゆる状況において高いレベルの安全性を全世界に示す絶好の好機でもあるのです。
リニアが大阪まで全通すれば、東海道新幹線は相対的にその価値が低下することになります。
JR東海にとってもこれは大きな問題です。
しかし新幹線ネットが構築できれば東海道新幹線こそがその核心部分を担うことになるのです。
札幌発 鹿児島中央ゆき の新幹線も決して夢ではないのです。
我々は今こそ 子孫に夢を託せるインフラを創り上げるべきではないでしょうか。
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