小田急電鉄_50000系 VSE ロマンスカー

小田急電鉄_50000系 VSE ロマンスカー

小田急電鉄は、2022年3月のダイヤ改正にあわせ、ロマンスカー50000形「VSE」の定期運転を終了すると発表しました。
50000形「VSE」 は箱根特急の乗客減に歯止めをかけるべく箱根特急の専用車として2005年に登場しました。VSEのV=「Vault」とは「アーチ形の天井、ドーム型の丸天井」を意味します。今までにない高い天井が印象的です。
デビューから約17年での定期運転終了は、歴代ロマンスカーの中で、最も短いものとなるのではないでしょうか。順番があるとすれば1996から99年までに製造された30000形「EXE」のほうが先に淘汰されるべきです。
この逆転現象のワケはなにかというと、それはVSEが連接台車構造 という特殊な10両連接の固定編成であるということです。
2018年3月にデビューした最新のロマンスカー70000形「GSE」もそうですが、30000形「EXE」も 20m級ボギー台車構造です。これからホームドアの設置を考慮すると20m級ボギー台車構造にあわせておかないといけないということになったのです。
加えて、VSEでは車体傾斜制御を採用しました。空気ばねによる車体傾斜制御と連接台車の組み合わせは世界初となるものです。
しかし、このギミックなハイテクメカはリニューアルする際の足かせになりました。
ちなみにN700系新幹線にも導入されている車体傾斜制御は高速運転を指向するものですが、VSEのそれは遠心力を減じて乗り心地の改善を指向するものです。
低出力の全密閉式主電動機MB-5110-A(135kW
ちなみに30000系EXEは195kw。)を多数使用する方式を採用したのも静かな車内にしたいというこだわりのあらわれです。
30000形EXEも2017年「+α」の要素を加え、車内も木質系の気品ある落ち着いた空間となり、全密閉式の誘導電動機に変更、低騒音化が図られました。
でもビジネス特急の位置づけとなるEXEとVSEとはその存在感、ステータスにおいて比較になりません。
上質で贅沢な移動空間を誇る小田急のフラッグシップが、こんなに早く姿を消すとは思ってもみませんでした。3000系SE以来の連接構造がなくなってしまうことも本当に残念でなりません。

 

小田急電鉄 50000系 VSE車 ①号車 デハ50900形 50902 特急「はこね」


小田急電鉄 50000系 VSE車 ③号車 デハ50700形 50702 特急「はこね」

小田急電鉄 50000系 VSE車 ⑩号車 デハ50000形 50002 特急「はこね」

 

小田急電鉄 50000形 VSE車 50002×10 編成表
←新宿⑩                 小田原①→
50002-50102-50202-50302-50402-50502-50602-50702-50802-50902
M1c-M2-M3-M4-M5-M6-M7-M8-M9-M10c
形式はデハ50000形-デハ50100形-デハ50200形……デハ50900形
私鉄車両編成表 2007年版   撮影:小田原 2005.8

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