「6300系とは違うんです」阪急 6330系 (珍車ギャラリー#004)

「6300系とは違うんです」阪急 6330系 (珍車ギャラリー#004)

2010年2月、阪急電鉄のエースとも言うべき6300系が特急の座から退いた時、
阪急の一時代が終わったなあ…。という気がしました。それほど6300系の存在感は大きかったのです。
6300系のさよなら運転については、ドクターKのレポートを是非ご覧ください。)

それにしても、6000系の6年後に登場した6330系まで、なぜ6300系と一蓮托生なのか…。
3ドア車である9300系と2ドア車である6330系が共存できないのはわかります。
でも6300系が来ると信じていたのに、7300系が特急運用に付いていたときもあったではないですか!
私にすれば、6300系と6330系とは、似て非なるもの。区別して考えてやりたい系列なのです。

阪急京都線のエース 6300系

6300系は2800系の後継車として1975年に登場した京都線の特急専用車です。
いわゆる鉄っちゃんシート以外はすべてクロスシート。
特急料金を取ってもおかしくないアメニティに加え、デザインも一新されました。
当時、淡路に住んでいた筆者にしてみれば、いつも指をくわえて眺めるだけのあこがれの存在でした。
なにせ、特急は十三を出たら次は大宮まで一切停まらなかったのです。
さて8編成あった6300系に9編成めが登場したのは1979年。
茨木市駅と高槻市駅の高架工事にともなう減速運転ダイヤに対応するために追加されました。
5年ぶりの増備であることから、新系列6330系(6330形ほか)として追加されました。

一般の乗客すれば、何一つ変わるところはなく、鉄道ファンを自称する人でも6300系の一員ととらえられている方が多いのではないでしょうか。
事実、私も、6300系の6330形というふうにとらえていました。

6300系は、前述したとおり2010年、特急の座からは退きました。
しかし、6300系そのものが消えてしまったわけではないのです。
嵐山線用に3編成が、4両編成に組成され、リニューアルされました。
さて普通だったら、車歴の新しいものが、リニューアル車の対象に選ばれるはずです。
前述したように6330系は、6300系より5年も若い車両です。
それなのにリニューアル車の対象とはならなかったのです。なぜでしょう?

*回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御車である7000系をベースにした6330系

実は、その中身が大きく改められていたのです。
6300系が抵抗制御だった5300系をベースにしていたのに対し、回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御車である7000系をベースにした新世代の車両に生まれ変わったのが6330系です。
それならなおさら、生き残っても良さそうなものです。
しかし一編成しかないということが、大きく災いしました。

6300系と6330系の違いは、梅田寄り先頭車両にパンタグラフが付いた電動車を配置した点です。
電動車のユニット(2両)を両端に配置するこのスタイルは、7300~8300系へと引き継がれた阪急の標準形であり、神宝線でも電動車のユニットを集中させる編成替えが行われています。
しかしこの電動車のユニット(2両)を両端に配置する6330系のスタイルが仇となるのです。

6300系8連を4連にするにあたっては、中間車であるMMユニットとT車2両を外すことでこれを解決しました。
でも6330系では両端のMc車をユニットを分割し、中間車にT車2両を挟み込むスタイルになります。

6330系 4連化再生プランA-①
6330-6960-6970-6430
Mc   T   T    M’c

これでは高圧の引き通し線を通さなければなりません。7300系と共通の保守点検はできないですね。
残りの中間M車だけ2両活用することもできますが、あと6両は活用できません。
もっとも、T車をTc車にする手もありますが…。6300系のTcも余っているわけです。
それを利用すると…
6330系 4連化再生プランA-②
6350-6830-6930-6450
Tc   M     M’     T’c
6300系のTc車を組み合わせて2編成目を作るということができます。

こういう手もあります。
6330系 4連化再生プランB
6330-6930-6950-6450
Mc  M’   T   Tc
→6350-6980-6830-6430
Tc   T    M   M’c
この方法が、最も6330Fを有効利用できる方法です。でもやっぱり2編成です。これでは足りません。

嵐山線用にリニューアルされた6300系の4両編成とあわせて3編成となれば、3通りの組み合わせができてしまいます。
6330系が2編成あれば、きっと生き残れたことでしょう。
しかし、1編成しかなかったことは如何ともしがたい。これこそが不遇を託つことになった大きな原因です。

あわれ、6330Fは、一足早く、2009年11月廃車となってしまいました。
結果、6351~53Fに対し、嵐山線用に4連化、リニューアル工事が施されました。
2008年から2009年にかけてのことです。

後悔先に立たず。

ところが、なんということでしょう。
6354Fについては、2011年に京都への観光客を誘致すべく「京とれいん」と名付けられ、
6両編成でのイベント列車用専用車として再起することになったのです。
京扇をデザインしたラッピングが施されました。内装も京都の町家をイメージしたものとなっています。

この手があったか!これこそ、6330系にふさわしい転用方法ではないか!
嗚呼、後悔先に立たず。そう思っているのは私だけでしょうか?

阪急京都線 6300系 *京とれいん 6354F① 6350形 6354

阪急京都線 6300系京とれいん 6連 編成表6354F
←梅田①                 ⑧河原町→
6354-6804-6904-6814-6914-6454
Tc  M  M’  M  M’  Tc
2011年3月より運行   6354F京とれいん=2011年5月撮影

 

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