東武鉄道 250系 250-3形(珍車ギャラリー#385)

東武鉄道 250系 250-3形(珍車ギャラリー#385)

2020年11月。東武鉄道250系を珍車ギャラリーでご紹介しました。
その作業中、「鉄道車両写真集」に1800系が無いのに気づきました。
DRCばかりに心を奪われていた私は1800系写真を撮り損ねたのか?と思ったのですが、そんなはずはないと過去の写真をひっくり返してみました。
ありました。アルバムに整理するのをおろそかにしていたのです。早速スキャナーし「鉄道車両写真集」にUPしました。

今日はそのきっかけを作ってくれた「東武鉄道の250系」を再度ご紹介します。

東武鉄道 250系 りょうもう号

 

東武鉄道 250系「りょうもう号」 250-3形

「--扉がない車両--」

画像をご覧ください。
これは東武特急「りょうもう号」の4号車に連結されている車両です。
客室扉がありません。
デッキ部分の空間を削って、端から端まですべて客室にしています。
これは珍しいですね。とはいえこのような車両はほかにないわけではありません。
たとえば、かつて貨車をトロッコ列車に転用した例があります。
貨車ですからそもそも客室扉なんてあるわけありません。
控え車となる客車から乗り込むことになるのは仕方ないですね。
あと食堂車なんかは業務用扉はついておりますが、営業スペースを確保するため客室扉は設けられていません。
対して、「りょうもう号」は客車です。
自分の指定席が3号車であっても隣の2.4号車から乗り込むしかないわけで、初めての人は面食らいますよね。

急行「りょうもう号」

「りょうもう号」は、赤城・伊勢崎方面と都心を直結するビジネス急行です。
1969年から専用車両である1800系によって運行されていました。
観光列車であるDRC(1720系)とは異なりビジネス列車とされたため、急行としてデビューしました。
座席はクロスシート(回転式)ですが、リクライニング機能はありません。
性能面では、同時期に製造された8000系と主電動機、主制御器は同じタイプです。(設定は変更あり)
台車も8000系と同様のミンデンドイツ式(一部S形ミンデン)です。
もっともダンパを追加するなどチューンアップはしているんですが、格下感は否めないところです。

1991年に200系が登場。1800系は「りょうもう」から順次離脱しました。
1813F・1816F・1817F・1818Fは300・350系に、1811F・1812F・1815Fは通勤車に改造されました。
1800系は98年には「りょうもう号」から撤退。
車齢が若かった1819Fのみ団体専用車として生き延びましたが、2018年には形式消滅しました。

それはさておき、「りょうもう」号は、99年特急に格上げされ、200、250系で運行されることになりました。
接客面、性能面において1800系を上回る新型車両です。

250系が1編成しかいないわけ

200系は1990~98年に6連9本、計54両が東急車輛・アルナ工機において製造されました。
全車1700系・1720系 「DRC」の車体更新名義となっています。
つまり200系の製造に際しては、構体は台枠より新製したものの、100系「スペーシア」の増備に伴って代替が進行していた1700系・1720系「DRC」の台車・主電動機など主要機器を流用していたのです。
座席も一部、DRCのものを再生していました。
200系は1960年に登場した1700系・1720系の足回りを再利用しているわけですが、走行性能、乗り心地ともに、現在でも通用する「DRC」の遺産には脱帽するしかありません。

対して1998年に6連1本が増備された250系は新車扱いです。
これは、改造元であった1700系・1720系が9編成54両しかなく、種車が底をついていたためで、増備するにあたっては主要機器を含めて完全新製するしかなかったからです。
こちらは、当時増備が進められていた30000系通勤車をベースに、VVVFインバータ制御やボルスタレス台車といった当時の最新技術を採用しています。

250系は200系と共通運用です。そして250系の車体自体は、定員も座席配置も200系と変わるところはありません。
4号車に客室扉がないのも同じです。

さてどうしてこのような客室扉がない車両が生まれたのかというと、200系をデビューさせるにあたって、先代「りょうもう号」1800系と同じ定員数を確保する必要があったからです。

ところが、207編成以降において、車椅子スペースの設置等、バリアフリー対策が盛り込まれたことになりました。
これに伴い、3号車(モハ200-4形、モハ250-4形)の扉幅が1,000 mmに拡幅されるとともに車体中央寄りに移設されることになりました。当然定員数も減っています。
これら仕様変更は201 – 206編成についても1998年までに実施され、200系、250系全編成とも仕様が統一されました。
これを機に4号車に車椅子スペースを設置、幅1,000 mmの扉を新設という手もあったのではと思いますがそうはなりませんでした。
そうすれば、定員が大幅に減ってしまうというわけですね。

6両編成全体が一つのユニット

ところで100系「スペーシア」③号車(モハ100-4形)にも客室扉がありません。
(販売カウンター付き車両で業務用扉はあります。)
そして、1700、1720系「DRC」③号車(モハ1700、1720形)にも客室扉がありません。
(こちらも、サロンルーム付き車両で業務用扉があります。)
いずれも、「りょうもう号」の4号車と位置は違いますが、東武特急6両編成を概観してみると、
3号車、4号車のいずれかに扉がなくとも扉相互の間隔はほぼ等間隔です。
指定された座席まで移動する際、その距離が長いのは先端車両の両端座席であって、
3号車であれ4号車であれ、歩く距離はおおむねその半分です。
思えば、東武では「DRC」を登場させたときから、6両編成全体を一つのユニットとして完成させていたのです。
ちなみに1700系では1号車も3号車も編成車両すべてが1700形です。
さすがに100系「スペーシア」では-(ハイフン)をつけて区別していますが、当時の意気込みを感じます。

200系そして250系もまたその思想を引き継ぎます。客室扉のない車両は東武特急ではスタンダードだったのです。
2017年 東武は26年ぶりに特急形車両500系を登場させました。
東武鉄道の広域な路線ネットワークを活かし、観光・通勤に多様な「Variety」運行を表すとともに全路線を縦横無尽に走り回る自由度「Liberty」の高さを表すRevaty(リバティ)の愛称をもつ500系は3両固定編成です。当然、全ての車両に客室扉があります。

さて100系「スペーシア」200系250系「りょうもう」の後継となる6両固定の東武特急は登場するのでしょうか?
そしてその時、客室扉のない車両は登場するのでしょうか?

初出:2020年11月。

鉄道車両写真集-
100系 スペーシア  200系250系 りょうもう  1700系 1720系 DRC    1800系 300系 350系へJUMP

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